「その食いつき方、間違っています!」リゾートしか浮かばない頭をぶっちぎる…激しすぎる自然現象が満載だった「島の真実」

AI要約

ブルーバックスは科学に関する本を制作している出版社で、今回は地質学に焦点を当てた島に関する本の制作について紹介されています。

「島」というキーワードで、多くの人が旅に思いを馳せる姿や、地理的な現象による島の形成から崩壊までを科学的に解説している内容となっています。

島の魅力だけでなく、地球のダイナミックなエネルギーや著者の調査活動の過酷さも描かれている本である。

「その食いつき方、間違っています!」リゾートしか浮かばない頭をぶっちぎる…激しすぎる自然現象が満載だった「島の真実」

1963年に創刊されて以来、「科学をあなたのポケットに」を合言葉に、これまで2000冊以上のラインナップを世に送り出してきたブルーバックス。本連載では、そんなブルーバックスをつくっている編集部メンバーによるコラムをお届けします。その名も「ブルーバックス通信」。

どうぞお楽しみください!

編集者をやっていると、会話の糸口に「どんな本を作っているのか」をよく訊かれます。ブルーバックスを作るようになってからは、健康や老化、ダイエットに絡むテーマのときは妙に食いつきがよかったり、物理や数学やちょっとディープな科学のテーマでは「難しそう」「研究の内容はおもしろそうだけど結論は何?」「その研究は何に役立つの?」と、せっかちな人からは詰め寄られたりします。

ところが今回は、リアクションがいつもとちょっと違いました。

「島の本を作っていて……」というと、きらきらとした目で「わー、島、いいですね。行きたいなあ。私、海外旅行の行き先はほぼ島なんですよ」と、なにやらアドレナリンとかドーパミンみたいなものが出ているようすの人。

「あー、こんどの休みは島に行こうと思っていて。どこがおすすめ?」と、まるで私が観光ガイド本を作っているかのように訊いてくる人。「私、島の中ではハワイ島が好き。プーケットもよく行くけど」と旅行自慢を始める人……。

どうしてこうも「島」というキーワードで、旅に思いを馳せるのでしょう。

そういえば私も、この本の原稿をいただくたびに、地図を見ながらリゾートの風景を思い浮かべては仕事から逃避したくなり、原稿を少し置いといてネットでいろいろ検索しながら(まったく行く予定がない)旅の計画を立てたりしていました。

「島」って妙に旅心をくすぐる言葉なのかもしれません。

でも、本書はもちろんリゾートの観光ガイドでも、美しい島の風景写真集でもありません。島が生まれ、成長して衰退し、崩壊に至るステップで、火山噴火とそれにともなう火砕流や津波、山体崩壊といった激しい自然現象が起こります。

その過酷な地質現象を科学的に解説した本で、地球のダイナミックなエネルギーを感じさせるものとなっています。著者が生まれたての島に上陸調査に行くようすも、リゾートに行くのとはかなり違う、大変なものであることも描かれています。