保育園で「無塩無糖」食 ~健康的給食を目指して~

AI要約

東京都新宿区大久保にある24時間体制の認可保育園「エイビイシイ保育園」の片野仁志理事長と片野清美園長の物語。

片野夫妻が「無塩無糖」の世界を知り、保育園児に無農薬・有機野菜に加えて無塩無糖の給食提供を始める。

片野理事長が独自の取り組みを映画にし、幼少時からの健康的な食生活の大切さを伝える。

保育園で「無塩無糖」食 ~健康的給食を目指して~

 東京都新宿区大久保にある全国でも珍しい24時間体制の認可保育園「エイビイシイ保育園」の片野仁志理事長と片野清美園長との出会いがありました。

 片野理事長は食事に関心が高く、20年前から保育園児に無農薬・有機野菜の給食を提供していました。ところが、体に良い無農薬・有機野菜を作り、それを食べている農家の方が高血圧や糖尿病になることが気になっていました。「塩分が原因ではないか?」と思い、インターネットで「無塩食」を検索しましたが、東京都内では見つからず、筆者が鹿児島県姶良市にある温泉宿泊複合施設、健康の駅「ホテル・フォンタナの丘かもう」で行っている健康教室「無塩無糖の世界」にたどり着きました。

 「無塩無糖」を初めて知った片野理事長は直感的に「保育園児に良い食事ではないか」と思い、2022年6月、ご夫妻で健康教室に参加するためにフォンタナの丘かもうに来られました。

 片野夫妻はフォンタナの丘かもうの「無塩無糖」料理を味わい、「おいしい」、「本当に塩を使っていないのか」と驚いていました。

 教室では「無塩無糖無バターパン(中尾パン)」や、ジャガ芋・タマネギ・牛乳で作った「じゃがいもポタージュ」を試食してもらいました。片野理事長が「今までジャガ芋のポタージュを食べたことはあるが、ジャガ芋の味はしなかった。今回初めてジャガ芋の味がした」と話してくれました。おそらくそれまで食べたジャガ芋ポタージュには、コンソメ(食塩45%含む)や有塩バターなどが入っており、ジャガ芋の味わいを消していたのだろうと思います。

 片野夫妻は「無塩無糖」の体験の後、保育園児に無農薬・有機野菜に加えて無塩無糖の給食の提供を始めました。筆者夫婦も試食しましたが、管理栄養士による味付けの工夫があり、食材の味が生かされた、保育園児にとって優しい食事でした。

 片野理事長は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が若年化している現状を踏まえて、「幼少時から健康的な食生活を送ることの大切さを多くの人に伝えたい」と考え、ドキュメンタリー映画の製作に乗り出しました。夜間保育園における数々の独自の取り組みを伝える「さらば昭和の保育所」は、2022年10月から「無塩無糖」食を映画の一素材として撮影が始まり、24年7月に完成しました。初上映会が7月14日に東京であり、筆者夫婦も九州から駆け付けました。