「気温50度」のシナリオも、熱波に備えた都市設計の必要性を専門家が警告

AI要約

専門家らは現在の記録的な暑さと将来の熱波について警告しています。都市部は地球温暖化の中心点となり、都市計画に暑さ対策が必要です。

気象情報機関のデータによると、世界の気温が産業革命前の水準を上回り続けており、暑さ対策が急務です。人工知能と熱モデリングツールを活用した研究が都市の暑さ対策に役立っています。

覆いや樹木などの対策を導入した地区では気温が大幅に下がることが実証されており、持続可能な都市設計の必要性が示されています。

「気温50度」のシナリオも、熱波に備えた都市設計の必要性を専門家が警告

熱波や高温の専門家らは、現在直面している記録的な暑さだけでなく、今後の熱波についても対策を立て始める必要があると警告している。

国連人間居住計画と大西洋評議会のアドリアン・アーシュト/ロックフェラー財団レジリエンスセンターの「最高熱波責任者」であるエレニ・ミリビリはインタビューで、都市部は他の地域の平均の2倍の速さで暑くなっており、「地球温暖化の中心点」になっていると語った。

ミリビリは、都市計画に携わる人は現在世界中で記録が塗り替えられている気温だけでなく、さらに暑くなる可能性のある来るべき熱波に備えた都市設計を始める必要があるとも指摘した。

「問題を深刻にとらえているフランスの首都パリが現在、気温50度という設定を含むシナリオで都市設計を練っているのは非常に示唆的だ」

「5年前にはこのような計画は考えられなかっただろうが、さらに暑くなっている未来を想定した設計を今始めなければならない。というのも、もはや今後暑くなるかどうかわからないという話ではないからだ」とミリビリは続けた。

ミリビリのコメントは、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が新しいデータを発表した際のものだ。発表されたデータによると、6月の世界の気温は産業革命前の水準を1.5度上回った。これは12カ月連続だ。欧州の6月の平均気温は1991~2020年の平均気温を1.57度上回り、史上2番目(タイ)に暑い6月となった。

エンジニアリングと持続可能性のコンサルタント会社Arup(アラップ)の自然再興部門を率いるディマ・ゾゲイブがインタビューで語ったところによると、同社は人工知能(AI)とコンピュータ上の熱モデリングツールを使って世界中の都市の暑さの問題を研究している。

調査で英ロンドンの最も暑い地域の気温は、近隣の緑豊かな地域よりも8度も高いことがわかったとゾゲイブは明らかにした。

アラップはこれらのツールを用いて地区や都市規模での設計が気温にどのように影響するかも測定している。

同社の研究者がアラブ首長国連邦で調査したところ、日差しを遮る覆いや樹木、透水性の表面などの対策を導入した地区の気温は10度も下がることがわかった。