現状を直視、次の災害へ対応進める ~能登検案活動の問題と課題―日本法医学会~

AI要約

日本法医学会が令和6年能登半島地震での死体検案活動についてシンポジウムを開催

警察庁の広域緊急援助隊刑事部隊の活動内容や構成について紹介

能登半島地震で124隊1488人の刑事部隊が派遣され、全国から636人が参加

現状を直視、次の災害へ対応進める ~能登検案活動の問題と課題―日本法医学会~

 日本法医学会(神田芳郎理事長)は6月に岡山市で開催した学術全国集会で、「令和6年能登半島地震における日本法医学会の死体検案活動」と題して、シンポジウムを行った。1月1日に半島部を襲った大規模災害という特異な状況下、情報収集や会員との連絡など派遣に至るまでの問題点、警察など諸機関との連携の在り方、現地での活動実態などが報告された。登壇者の発言をまとめた。

 引地信郎・警察庁刑事局捜査一課検視指導室長

 国内で大規模災害が発生した場合に備えて、警察庁は被災地で活動する部隊「警察災害派遣隊」を設置している。派遣隊は、「即応部隊」と発災から一定期間経過後に長期にわたって派遣される「一般部隊」で構成されている。

 即応部隊はさらに四つの隊に分かれており、その中の「広域緊急援助隊」には警備、交通、刑事の各部隊がある。警備部隊はいわば本隊で、被災状況や道路状況などの情報収集をはじめ、救助・救援活動、避難誘導などが任務。交通部隊は交通路の確保、刑事部隊は検視や死体調査、遺体安置所での遺族への引き渡しなどが任務となっている。

 広域緊急援助隊の発足は1995年。その年の1月に阪神大震災があり、全国の警察から機動隊など多数を派遣したが、経験や技術が不足していたということで、同年6月に設置した。刑事部隊は2006年の設置となる。

 広域緊急援助隊刑事部隊が実際に運用されたのは、11年の東日本、16年の熊本地震、24年の能登半島地震。刑事部隊は検視班と遺族対策班で構成され、1隊が12人(検視班10人、遺族対策班2人)。各県の規模に応じて部隊数を割り当てている。

 例えば警視庁は8隊、大阪府警は6隊、代表的な県は4隊、それ以外の県は2隊。合計で124隊、1488人となっている。

 能登半島地震では、1月3日から13日まで、全国の警察から延べ636人の刑事部隊を派遣。第1次は愛知と岐阜から、第2次は大阪、京都、兵庫から、第3次は群馬、長野、埼玉、神奈川からとした。