靴は捨ててもいい? 「裸足は効果的」との研究が続々発表、半年で足の力が150%超にも

AI要約

裸足やミニマリストシューズを履くことが足の力を向上させ、バランスや姿勢を改善する研究が増えている。

現代の靴が足の自然な動きを制限し、足裏の感覚を鈍らせていることが問題視されている。

ミニマリストシューズは足の自然な形状や動きをサポートし、足の健康に寄与するとされている。

靴は捨ててもいい? 「裸足は効果的」との研究が続々発表、半年で足の力が150%超にも

「自然な足の動き方であれば、けがが減り、足がもっと強くなるのでは」という考え方は長年、ランニングやウオーキングをする人を魅了してきた。メキシコの裸足の長距離ランナーたちを描いた本『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』が出版され(編注:米国で2009年5月、日本語翻訳版は2010年2月に発刊)、裸足で暮らすミニマリストのライフスタイルが世界的に大きな関心を呼んだとき、この風潮はさらに強まった。

 それから10年以上が経った今でも、裸足で過ごすこと、あるいはミニマリストシューズを履くことは、足の力の回復や筋肉量の増加、歩行の改善に効果的だとする研究が増え続けている。2021年に学術誌「Scientific Reports」に掲載された研究によると、ミニマリストシューズを履いた被験者は、6カ月間で足の力が平均で57.4%向上したという。ミニマリストシューズによってバランスの向上や転倒リスクの減少が示された研究もある。

「裸足になることは、特に子どもにとって大切です。地面の蹴り方は子どもの頃に確立されるからです」とガラハド・クラーク氏は言う。クラーク氏は、英国の老舗靴メーカーの7代目であり、ミニマリストシューズのブランド「Vivobarefoot(ビボベアフット)」の創業者だ。

「人の足は実はとても丈夫で弾力性があり、いろんな要求に応えられるようになっています。でも、本来の使い方がされていません」と、英ロンドンに拠点を置く足の専門医(足病医)であるリーナ・ハリス氏は指摘する。「人間の足には33個の関節があって、3つの面で動くようになっています。つまり、歩く地面の状況に合わせて形を変えられるのです」

 しかし、現代の靴では自然な動きが制限され、歩き方や足の構造にまで影響を及ぼしている。

「現代の靴は足先が細くなっているものが多く、足指がぎゅっと締め付けられて、しっかり踏み込んだり指を動かしたりできません。そのため、足の筋肉もうまく動かせなくなっています」とハリス氏は説明する。

 また、靴のミッドソールにはクッション性があるので、感覚が鈍り、足裏で地面を感じにくくなっているという。それが原因で姿勢が悪くなり、やがてバランス感覚が低下し、さらには足裏のアーチが崩れて筋骨格系の問題に発展する場合もある。

 現代の靴は、クッション性のある厚い発泡素材を使い、足先は細く、かかとが高い。一方、ミニマリストシューズは、柔軟性のある薄いアウトソールに、足指を広げられる幅広の足先、裸足のときのようにかかととつま先の高さが同じになるゼロドロップ・デザインを採用している。