じつは「偏西風の波」は、大きすぎても、小さすぎても「異常気象につながる」という、じつに納得の理由

AI要約

気象現象の「おこるしくみ」について詳しく解説した『図解 気象学入門』と、天気予報が提供される方法について解説した『図解 天気予報入門』から、季節に合わせた気象現象と予報について解説します。

梅雨に影響を与える偏西風波動は異常気象の予測に大きく関連し、偏西風のパターンが例年に比べて異なると異常気象が引き起こされることがある。

偏西風波動の3つのパターンを紹介し、強まった偏西風が異常気象をもたらす仕組みについて詳しく解説する。

じつは「偏西風の波」は、大きすぎても、小さすぎても「異常気象につながる」という、じつに納得の理由

今日の空模様にも、理由がある……。

古来から私たちの生活をやわらく、時に厳しく包んできた気象。さらに、ゲリラ豪雨や線状降水帯など、昨今特に耳にすることが多くなってきた現象もあります。こうした、気象現象はどのように起こり、またそれをどのように予測し、報じるのでしょうか。

そうした気象現象の、「おこるしくみ」を詳しく解説した『図解 気象学入門』、メディアなどを通じて報じられる天気予報がどのように提供されているのかを解説した『図解 天気予報入門』から、季節に合わせた気象現象と予報を解説します。

偏西風波動に大きく影響される梅雨ですが、この編成風の動きは長期の天気の予測に大きく関連しています。よく耳にする「例年に比べて」と言う言葉がありますが、大雨や高温・低音の予測に欠かせない情報です。今回は、この偏西風のパターンからみる異常気象の予測についての解説をお届けします。

※本記事は、『図解・天気予報入門』、および『図解・気象学入門 改訂版』を再編集・再構成の上、お送りいたします。

以前の記事でご説明したように、梅雨は、ジェット気流の蛇行、つまり偏西風波動の大きな変化と関係があることがわかりました。

偏西風波動は図「北半球の偏西風波動」で見られるように大小入り交じっています。その中でも北半球全体に2~3個という規模でできる波長の長い波動は、超長波とよばれ、季節変化とともにゆっくりパターンを変えています。大陸と海洋の分布に強く影響を受けているので、季節ごとに生じるパターンはだいたい同じような形です。

しかし、この偏西風のパターンが例年に比べて異なると、異常気象を引き起こすことになります。低気圧や前線と同じように上空の偏西風と関連した話題なので、ここでふれておくことにしましょう。

図「偏西風波動(超長波)の3つのパターン」は、偏西風波動の中でも波長の長い大きな波動に注目し、そのパターンを3つに分類したものです。(a)では、ゆるやかに蛇行しており、北に寒気、南に暖気があります。

偏西風の蛇行が図の(b)のように強まると、暖気が高緯度にまで入りこんだり、寒気が低緯度にまで入りこんだりすることになります。

ときには(c)のように、偏西風波動が強まりすぎた結果、その一部がちぎれて渦になることもあります。この渦は偏西風の流れから取り残され、流されることがありません。そのため、消滅するまでの間、同じ場所に居座り続けたり、非常にゆっくりとしか動かなかったりします。この現象は、波動の東への移動を止めてしまうことから、ブロッキングといいます。