じつは、地上からだけでは気づかない…梅雨の最中と明けたと後で「決定的に変わる」はるか高層の大気

AI要約

梅雨とはどのような気象現象なのか、天気図からその特徴を読み取る方法。

気象現象がどのように起こり、予測されるのか。

前線の性質によって梅雨前線周辺の天候がどのように変化するか。

じつは、地上からだけでは気づかない…梅雨の最中と明けたと後で「決定的に変わる」はるか高層の大気

今日の空模様にも、理由がある……。

古来から私たちの生活をやわらく、時に厳しく包んできた気象。さらに、ゲリラ豪雨や線状降水帯など、昨今特に耳にすることが多くなってきた現象もあります。こうした、気象現象はどのように起こり、またそれをどのように予測し、報じるのでしょうか。

そうした気象現象の、「おこるしくみ」を詳しく解説した『図解 気象学入門』、メディアなどを通じて報じられる天気予報がどのように提供されているのかを解説した『図解 天気予報入門』から、季節に合わせた気象現象と予報を解説します。

前回取り上げた「梅雨」という気象現象。今回は、梅雨がどのように天気図に反映されるのかを見てみます。天気図から梅雨の特徴が読み取れれば、あなたも気象予報士に近づけるかも!?

※本記事は、『図解・天気予報入門』、および『図解・気象学入門 改訂版』を再編集・再構成の上、お送りいたします。

梅雨になると、図「梅雨前線が日本列島にかかるころの高層天気図」 のように天気図に梅雨前線が形成されます。前線を境に北の「オホーツク海高気圧」から吹きだす冷たい北寄りの風と、南の「太平洋高気圧」がもたらす暖かく湿った南寄りの風が押し合う形となります。前線が本州付近に停滞すると曇天で雨がちとなりますが、北に押し上げられると夏のような晴れ間に、逆に南に下がると梅雨寒となります。

ときおり前線上に低気圧が発生して東進し、思わぬ大雨をもたらします。低気圧の発達の有無やスピードによって、当然、雨量の分布も異なります。かつての予報官は、低気圧が発生する前段には前線の南北への蛇行が現れる、あるいは南からの湿った気流の流入などが見られることに注目し、予報を行っていました。

現在では、コンピュータによる数値予報でこのような低気圧の発生も十分に予測可能になっています。

西日本では、前線の南北での気温差はあまりなく、そのかわり湿度の差があります。前線の南側は、太平洋高気圧の西の縁を回り込んできた風が、海面水温の高い海域で水蒸気を多く供給され、湿った気流が流れ込みます。

また、前線の北側では、夏の日射で高温となった大陸の上を吹きわたってきた乾いた空気が流れ込んでいます。これらの湿った高温の気流と乾いた高温の気流が、梅雨前線でぶつかり合っています。このように、梅雨前線の東と西では性質が異なり、東側では陰性の梅雨(低温で雨量は少ない傾向)となり、西側で陽性の梅雨(高温で雨量が多い)となる傾向があります。

*東西で梅雨の性質の違いが生じるしくみは、前回の記事を参照。