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「5/7 ÷ 3/5 = 5/7 × 5/3」…なぜ分数の割り算は分子と分母を入れ替えた掛け算に直せるか説明できますか
算数の基礎的な考え方を学び直すべき大人向けの連載記事。分数同士の掛け算・割り算について具体例を用いず一般論で説明。
自然数を用いた数式を示し、分数の計算法を解説。分数同士の掛け算や割り算について理解を深める。
図による具体的な説明を用いることで、分数の計算法を覚えやすくする方法を提案。
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食塩水の濃度や往復の平均速度など、仕事などでちょっとした算数の知識が問われる場面に出くわして、ドキッとしたことはないだろうか。「昔は解けたのに……」、そう思うのに解けない。そんな大人たちは本連載で今一度、算数を基礎から学び直してみてはどうだろう。
長年、算数・数学教育に携わってきた桜美林大学名誉教授・芳沢光雄氏の新刊『大人のための算数力講義』(講談社+α新書)より抜粋して、「算数の重要な考え方」をお届けする。
『大人のための算数力講義』連載第22回
『小学生の頃はできたのに…「1/2 + 1/3 = 2/5」と答えてしまう大学生が忘れてしまった「通分」の考え方
』より続く
分数同士の掛け算・割り算を学ぼう。
具体例で説明して一般的な公式を理解してもらう方法もあるが、ここでは一般論としての説明を試みる。
準備として、最初に次の(*)を導いておく。なお、a、b、cは自然数である。
まず
が成り立つ。ちなみに上の計算で、
・分数の導入の最初で述べた約束から、最初の等号は成り立つ。
・結合法則が成り立つから、2番目の等号は成り立つ。
・交換法則が成り立つから、3番目の等号は成り立つ。
・分数の導入の最初で述べた約束から、4番目の等号は成り立つ。
・約分を用いたことから、最後の等号は成り立つ。
したがって、
を得るが、この式の両辺に右から1/aを掛けると、
が成り立つ。ここで、
それゆえ、左辺と右辺を取り替えて、
が導かれたのである。
次に、a、b、c、dを自然数とするとき、
が成り立つ。なぜならば、
となるからである。ちなみにこの計算で、
・最初の等号は、分数の導入の最初で述べた約束を用いている。
・二つ目の等号は、結合法則を用いている。
・三つ目の等号は、[1/aをb個加えた固まり]をd個加えれば、それは[1/aをb×d個加えた固まり]になるからである。
・四つ目の等号は、交換法則を用いている。
・五つ目の等号は、(*)を用いている。
・最後の等号は、交換法則を用いている。
次に、割り算に関しては、a、b、c、dを自然数とするとき、(III)が成り立つ。
なぜならば、(II)を用いて
となるので、
が成り立つ。そこで、一般に[A×B=C (B≠0)のとき、A=C÷B]が成り立つことを思い出して、
が導かれる。そして、左辺と右辺を取り替えれば(III)となる。
例
ところで公式(II)と(III)に関しては、一般的な説明を理解しなくても、図による具体的な説明によってそれらを正しく思い出すことができれば、とりあえず構わないと考える。
『小学生は知っている「0.777…」「0.191919…」循環小数を分数に直すやり方
』へ続く