初の「無塩無糖」懐石料理 ~料理長の努力で実現~

AI要約

無塩無糖で外食が難しい経験から、高血圧の専門医が無塩食に取り組み始めた経緯。

高血圧の専門医が無塩食の重要性を学ぶ中で、無塩無糖の懐石料理を作るための試行錯誤。

料理長との協力により、無塩無糖の懐石料理が完成し、筆者が感謝の気持ちを述べる。

初の「無塩無糖」懐石料理 ~料理長の努力で実現~

 「無塩無糖」になり、一番困ったことは外食ができなくなったことです。今から8年前、「無塩無糖」で16年が経過した時、インターネットで無塩無糖食を提供するレストランを検索してみましたが、見つかりませんでした。しかし、目に飛び込んできたのは日本高血圧協会のウェブサイトにある「ドクター上島の食塩無添加日記」です。読んでみると、このドクターも外食ができずに困っていたのです。筆者以外にも無塩食の方がいることにびっくり。悩みは同じだったのです。

 「ドクター上島」、上島弘嗣先生は滋賀医科大学名誉教授で高血圧専門医。日本の高血圧診療を指導する立場にあるお一人です。2014年から食塩無添加の食事を始めていたといいます。16年に京都でお会いし、高血圧の治療に食塩無添加食が大事であることを教えてもらいました。6年間の「食塩無添加」の体験を高血圧専門医の立場から学問的にまとめ、「ドクターうえしまの塩切り奮闘記」を出版されました。無塩食の作り方も詳しく説明してあり、高血圧と食塩について関心のある方は一読の価値があると思います。

 日本初の国立公園である鹿児島県霧島連山(霧島錦江湾国立公園)の南山麓に、妙見温泉のおりはし旅館があります。この旅館で、しばしば食事会が催されます。とても評判の良い懐石料理が供されます。しかし、「無塩無糖」食を実践している筆者にとっては塩辛く感じていました。

 そこである時、意を決して同旅館の料理長にお願いしました。

 「しょうゆやみそなど塩・砂糖の入った調味料を使わない、素材だけの『無塩無糖懐石』を作ってくれませんか」

 このお願いに料理長はとても驚き、困惑していました。料理学校で「無塩無糖」の料理を習ったこともないし、「無塩無糖」料理を作っている料理人もいないからです。

 それでも何度もお願いし、最終的には受けてもらいました。日本に参考になる「無塩無糖」の料理がないため、料理長独自の工夫が始まりました。塩味は、しょうゆやみその代わりにかつお節などでしっかりと出汁を取りました。甘味はみりんや蜂蜜を使うと簡単ですが、使わないようにお願いしました。そこで、果物や野菜の自然な甘さを最大限引き出す工夫をしてくれたのです。

 料理長の試行錯誤と努力の結果、筆者も食べることができる無塩無糖の懐石料理が完成しました。会食では、筆者の分だけ「無塩無糖」料理を作ってくれました。心から感謝しています。