がんはなぜ発症するの? 期待されるiPS細胞を使った治療法…効果を高めるために心がけておきたいこと

AI要約

土井俊彦さんが健康について考える中で、病気と健康の関係や再生医療の可能性について述べられている。

健康とは何か、自身の細胞の健康状態の重要性、再生医療の進歩による治療方法の可能性について考察されている。

最新の研究やデータを活用し、自身の健康状態を見える化することの重要性に言及がある。

 日本人の2人に1人ががんを経験するといわれています。がん患者と向き合う医療者は、日常の診療の中で何を思い、感じているのでしょうか。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の医師らが語ります。今回は、次世代の医療技術や医薬品の実用化を目指す「先端医療開発センター」の前センター長で、4月に東病院の病院長に就任した土井俊彦さんです。

 昨年、コロナにかかってしまった。運よく症状はなかった。私の免疫細胞はしっかり戦えているのだろうか? 「健康ですか?」と聞かれると「はい」と答える人は多い。「いいえ」というのは簡単で、医者にかかっていると言えばよい。

 だが、「健康とは?」と聞かれると説明は難しい。健康は病気でなければいいのだろうか? 病気になった時に「元気に、健康に戻りたい」という思いは、万人に共通の願いだろう。

 がんの根治を目指す治療として再生医療(iPS細胞など)が注目されている。がん細胞を攻撃してくれる若くて健康な正義のヒーロー(免疫細胞など)を体内に送り込む。その正体は、自分自身の細胞か、他人の細胞(iPS細胞含む)だ。

 ヒーローは健康であってほしいが、細胞は定期検診を受けているわけではない。細胞の健康を維持するには、どんな食事や運動が適しているのか? 喫煙や飲酒は影響するのか? ストレスは? 環境は? 再生医療に携わると、そういうことがとても気になる。

 自分の細胞で自分を治療できる世の中が見え始めている。自分の細胞が健康であることは、自分の未来に影響するだけでなく、他人の健康にも役に立つ。また、他人の細胞で治療してもらうなら、他人の健康に配慮する優しい気持ちになれて争いもなくなると思う。

 最新の研究や日常生活のデータも、健康を見える化する鍵となると考えれば、データが使われるのも悪くはない。私の細胞は今元気なの? 健康なの? どうしてほしいの? と問いかけを始めてはどうだろう。