フレイル予防 兆候をチェックする機会広がる…自分で筋肉量を調べる「指輪っかテスト」ってどうやるの?

AI要約

介護が必要ではないけれど、加齢で心身が衰えた状態の「フレイル」について、自治体がフレイルチェックを導入し、予防の重要性を啓発している。

フレイルのリスクをチェックする方法や予防策について具体的な事例を挙げながら説明している。

東京大高齢社会総合研究機構が開発した簡易なフレイルチェック方法も紹介し、自治体が積極的に取り入れている様子が伝えられている。

 介護が必要ではないけれど、加齢で心身が衰えた状態の「フレイル」。フレイル講座では今年度も、予防に役立つ情報を紹介します。予防の第一歩は、自身の今の状態を知ることです。関心を持ってもらおうと自治体が工夫をしており、フレイルの兆候をチェックできる機会が広がっています。(小沼聖実)

 「片足立ちだとふらついちゃう。両足ならできるのに……」

 4月下旬、東京都文京区の複合施設。集まった男女17人が取り組んでいたのは、「フレイルチェック」だ。

 腕を組んだ状態で椅子から片足で立ち上がれるか、「タタタ……」と言って、1秒間で何回言えたかを測定する。人との関わりがどの程度あるか、といった普段の生活に関する質問票に答える――。22項目のうち、基準を満たした項目には青シール、基準未満は赤シールを専用の用紙に貼り、赤シールが8枚以上になるなどした場合、フレイルのリスクが高いと判断される。該当者には、区が体操などの介護予防の教室への参加を呼びかける。

 チェックが終わると、日常生活で取り組める予防方法を参加者同士で話し合った。区の広報を見て初めて参加した 鷲沢(わしざわ)真理子さん(70)は約20年間、太極拳を習っており、身体機能に問題はなかったが、町内会活動への参加など、人との交流が少ないことに気づいたという。「フレイルは、筋力の衰えのことだと思っていたが、予防には社会参加や、栄養をしっかり取ることも大事だと分かった」と話した。

 この日の測定を担っていたのは、フレイルを学んだ市民ボランティア「フレイルサポーター」たちだ。その一人、工藤真理子さん(60)は、80歳代の母親が医師からフレイルと言われ関心を持ったといい、「早いうちから予防に取り組み、体の状態を保てるようにしてほしい」と呼びかける。

 フレイルは、虚弱を意味する英語「frailty(フレイルティ)」が語源で、要介護と健康な状態の中間の段階とされる。筋力低下など身体面のフレイルのほか、精神・心理面、社会面の三つの側面がある。対策をとれば改善する可能性があり、定期的に自身の状態を知る機会は大切だ。

 フレイルの兆候を手軽に調べられるように、東京大高齢社会総合研究機構が開発したのが、「指輪っかテスト」と、11の質問に答える「イレブンチェック」だ。指輪っかテストでは、両手の人さし指と親指でふくらはぎを囲む。隙間ができると筋肉量が少ない可能性が高い。

 機構はこの簡易的な方法に加え、筋力や滑舌などを調べたり、より詳細な質問票に答えたりする「深掘りチェック」も合わせたフレイルチェックを推奨している。文京区もこの方式を採用している。