6月4~6日にまたオーロラが広く出現か、5月の低緯度での観測から太陽がちょうど1回転

AI要約

2024年の太陽極大期には20年ぶりに最高のオーロラを観測できる見込みだったが、NASAによると5月中旬の太陽フレアが過去500年で最も強力なオーロラを引き起こした。

現在、再び太陽活動が活発化しており、オーロラがさらに出現する可能性が高まっているが、その影響は通信障害や電力網の崩壊などのリスクもある。

2024年は太陽の活動ピークの年であり、オーロラ観測のための予測アプリやダークスカイ保護区を利用することで、最適なタイミングや場所でオーロラを楽しむことができる。

6月4~6日にまたオーロラが広く出現か、5月の低緯度での観測から太陽がちょうど1回転

 2024年の太陽極大期には20年ぶりに最高のオーロラを観測できるだろうと専門家たちは予測していたが、我々の太陽は予想を遥かに上回っている。NASAによると、5月中旬の太陽フレアが引き起こしたオーロラは「過去500年間の記録でおそらく最も強力な出現の1つ」だという。

 そして、さらなる出現がこれから期待されている。

 5月にG5レベルの地磁気嵐を引き起こした太陽黒点が再び活発化し、より多くの太陽フレアを放出し、東アジア全域で一時的な短波ラジオの通信障害を引き起こしている。

 しかし、通常よりもはるかに南の緯度で見られる驚異的なオーロラがまた観測されるのだろうか? そのためには、太陽フレアがコロナ質量放出(CME)を引き起こす必要があり、それが次に地球に直撃する可能性が最も高いのは、5月中旬の嵐から太陽が1回転する6月4~6日だ。

 太陽嵐はオーロラだけでなく、停電や電力網の崩壊、変電所などに損害を与える恐れがある。ラジオが数時間機能せず、GPSも数日間にわたり低下する可能性がある。

 専門家たちが解説する、2024年の太陽活動の重要性、オーロラを見るための最善の方法、太陽嵐が地球上の生活にどのような影響を与えるかなどは以下の通りだ。

 2024年は、太陽がおよそ11年周期の活動のピーク(太陽極大期)年だ。しかし2014年に起こった前回の極大期は、この100年間で最も弱かった。コロラド州ボルダーのNOAA宇宙天気予報センターの研究科学者であるマーク・ミーショ氏は、おかげでいつもよりもさらに興奮を引き起こしているという。

 オーロラは、地球の磁極を囲む「オーロラ帯」と呼ばれる地域で発生すると、米アラスカ大学フェアバンクス校地球物理学研究所のドン・ハンプトン氏は言う。しかし、その位置や範囲は太陽風の強さによって常に動いている。

 太陽風とは、太陽から吹き出す電荷を帯びた粒子(プラズマ)の流れのことであり、非常に強い太陽風が放出される現象を太陽嵐という。オーロラは太陽風と磁気圏(宇宙空間で地球の磁場の影響が強く及ぶ領域)との相互作用によって引き起こされると、ミーシュ氏は言う。太陽極大期には、オーロラ帯が広がって活発化することが頻繁に起こるだろうと専門家は考えている。

「より多くのエネルギーがあると、(オーロラ帯は)厚みを増し、さらに南へ拡大します」とハンプトン氏は言う。「今回の太陽周期の間には、米中西部、しかも中西部南部(北緯40度線)に住む人々まで、オーロラを数回見られる可能性が十分にありますが、断言はできません」

 米国の場合、北緯40度線はユタ州プロボ、コロラド州ボルダー、インディアナポリス北部、オハイオ州コロンバスなどを通っており、日本では秋田県男鹿市から岩手県普代村までを横切っている。

 NOAA宇宙天気予報センターのオーロラ予測サイトのほか、「Northern Lights Forecast」や「My Aurora Forecast & Alerts」といったアプリは、オーロラを見るのに最適な時期や、太陽活動後にオーロラ帯がどれだけ南に拡大するかを予測するのに役立つだろう。スウェーデン宇宙物理学研究所の宇宙気象学者マグナス・ウィック氏によると、オーロラは春分と秋分の時期により多く発生しやすい。

 タイミングと場所については、そのほかにも考慮すべきことがある。雲がかかっている、あるいは人工の光による「光害」がある空では、オーロラを見つけるのは難しく、まったく見えないこともある。

 光害から逃れるには、ダークスカイ・インターナショナル(旧国際ダークスカイ協会)のサイト「DarkSky.org」を参考に、世界の星空保護区を探してみるのもいいだろう。

 オーロラ帯と自分がいる場所との関係によって、どちらの方角を見るべきかも変わってくる。「アラスカでは、大きな太陽嵐が来たときには、われわれは頭上か南の方を見ます」とハンプトン氏は言う。「米国中西部であれば、広い野原を見つけて北を見るようにしてください」

 だが、すべてのオーロラが同じような見え方をするわけではないと、ミーシュ氏は言う。

「米国本土でもまれにオーロラがよく見えることがありますが、たいていは地平線がうっすらと赤く光るだけで、写真や映像で見るようなドラマチックなものとはまるで違います」