国内初の内臓脂肪減少薬、現状は ~販売開始から4カ月~

AI要約

大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」は、内臓脂肪を減らすために脂肪の吸収を阻害する働きを持つ。リパーゼの働きを阻害することで脂肪は便として排出されるため、内臓脂肪と腹囲の減少が期待できる。

アライは要指導医薬品であり、薬剤師からの対面説明が必須である。使用者の条件には腹囲や生活習慣改善に取り組んでいることなどが含まれている。

臨床試験では、腹囲減少率が服用2カ月後に6割弱が-3%、半年後には5割ほどの人が-5%達成とされ、効果が確認されている。

国内初の内臓脂肪減少薬、現状は ~販売開始から4カ月~

 大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」(18カプセル入り2530円、90カプセル入り8800円)は、日本初の内臓脂肪・腹囲を減少させる話題の市販薬。4月の販売開始から約4カ月がたち、関係者に状況を聞いてみた。

 アライは、どのように内臓脂肪を減らすのか。

 食事で摂取した脂肪は、膵臓(すいぞう)から分泌される脂肪分解酵素リパーゼによって脂肪酸などに分解(消化)され、消化管から吸収される。アライの有効成分オルリスタットは、消化管内でリパーゼの働きを阻害するため、脂肪は分解・吸収されず、そのまま便として排出される。脂肪の吸収量が低下するため、内臓脂肪と腹囲の減少が期待できる、というわけだ。

 要指導医薬品に分類。購入時に薬剤師から対面での説明が必須で、オンラインでは買えない。

 使用者の条件は①腹囲が男性85センチ以上、女性は90センチ以上②購入の3カ月前から生活習慣改善に取り組んでいる③肥満症(BMIが25以上35未満で脂質異常症や糖尿病などの診断を受けている)に罹患(りかん)していない④BMIが35未満⑤服用開始から1カ月間の体重・腹囲、生活習慣改善の取り組みを記録する―などがある。

 臨床試験では、腹囲減少率が服用2カ月後に6割弱が-3%、半年後には5割ほどの人が-5%達成と、有効性が確認されている。

 開発を担当した大正製薬の藤田透さんによると、販売開始3カ月で年間販売計画の7割を突破。「想定していた以上のニーズがある」(藤田さん)。

 問い合わせの多くは「自分がこの薬を飲めるかどうか」。服用の条件が多いため、購入できるかどうか分かりにくい。服用中の薬との飲み合わせなども気になるところだ。

 これには、特設サイトに「購入条件チェックコンテンツ」を立ち上げることで対応。質問に答えていくと、飲めるかどうかが分かる。

 対面販売をする薬剤師も手応えを感じている。スギ薬局の都内店舗エリアマネジャーで薬剤師の曽根麻友美さんは「宣伝の効果もあり、問い合わせは多い。リピーターの人からはBMIや体脂肪の減少といった効果が出てきたという声も聞こえ始めた」と話す。