〈奥能登大雨・続報〉珠洲市で1人死亡 奥能登3市町で不明3人、重傷2人

AI要約

能登北部での大雨による被害について報告されています。 珠洲市で1人が亡くなり、輪島、珠洲、能登の各市町で1人ずつが行方不明となっています。また、能登町では2人の重傷者が確認されています。

珠洲市や他市町で孤立した地域があり、約700世帯が救助を待っている状況です。さらに、16河川が氾濫し、建物への浸水被害も発生しています。

輪島市や珠洲市では停電が発生し、施設や住宅に被害が出ています。県内外からの消防隊や自衛隊が救援活動に参加しています。

 石川県や各市町によると、能登北部の大雨で珠洲市の1人が亡くなった。21日午後4時現在で、輪島、珠洲、能登の各市町で1人ずつが行方不明となっている。坂口茂輪島市長は午後5時の県災害対策本部員会議で「市内の10人が行方不明になっている」と明らかにした。

 このほか、能登町では重傷者2人も確認された。いずれも北河内地区とみられる。

 珠洲市の4カ所(上戸名荷谷、大谷西谷、東山中、寺家塩津)が孤立し、現時点で約700世帯が救助を待っているという。このほか、能登町で2カ所(北河内、柳田久田)、輪島市でも孤立が発生している。

 道路の通行止めは、能越自動車道穴水インターチェンジ(IC)―のと里山空港IC間に加え、国道249号など18路線37カ所で発生。県によると、輪島市内へのアクセス道路はほぼ寸断され、門前地区へのルートを除き、全て通行できない。

 輪島、珠洲、能登3市町の16河川が氾濫。建物では各市町で多数の床上、床下浸水が確認されている。輪島市の県営住宅1団地と、能登半島地震の仮設住宅のうち輪島市、珠洲市の8団地が床上浸水した。

 七尾市以北の能登6市町と羽咋市で避難所が計94カ所開設され、1358人が避難している。避難者数は輪島市975人、珠洲市225人、能登町149人、穴水町6人、志賀町3人。

 停電は午後9時5分現在、輪島市約4300戸、珠洲市約910戸、能登町約740戸で発生している。停電の影響によるポンプ施設の停止や、橋にかかる水道管の破損で断水が発生している。

 輪島市内では、市立輪島病院の下水が使用不能となり、診療所2カ所、薬局1カ所、高齢者施設6カ所、障害者施設3カ所、児童施設2カ所で浸水や雨漏り、停電などが発生している。七尾市では診療所1カ所で雨漏りが確認された。

 農業関係では、地滑り防止区域の輪島市稲舟で土砂流出が発生。珠洲市の畜舎でも停電が見られる。

 7府県の緊急消防援助隊370人と県内の消防隊員104人が能登空港に集結している。県の災害派遣要請を受け、自衛隊員400人も出動した。県は輪島市と珠洲市への物資支援の準備をしており、22日午前にも両市へ向かうとした。

  ●「山あいで下敷き」

 災害対策本部員会議で、坂口輪島市長は、門前町を除く輪島市が孤立状態にあるとし、「山あいで下敷きになっている人の救助ができない」と説明した。

 泉谷満寿裕珠洲市長は外浦地区で携帯電話がつながらなくなっているとし、孤立状態の真浦地区では車の中で救助を待つ人がいると報告した。

 馳浩知事は「人命救助を最優先する」と強調した上で職員への緊急非常事態を宣言し、被災市町の支援に当たると説明。林芳正官房長官や松村祥史防災担当相とも連絡を取り、支援を要請したと述べた。

  ●浸水想定区域の「仮設」が浸水

 馳知事は、会議後の報道陣の取材で、輪島市内の浸水想定区域に建てた仮設住宅で浸水被害が起きていることについて「当事者にとってつらいことだ。早急に対策を講じたい」とし、速やかに避難指示が出たのかを確認する考えを示した。