知床・観光船事故 社長逮捕は「一定の区切り」 北海道内有数の観光地、斜里・羅臼 今なお続く打撃

AI要約

斜里、羅臼地域で小型観光船事故の関係者が逮捕された影響について、区切りを迎えつつも観光地の回復はまだ完全ではない状況。遺族や地元自治体は対応や支援に注力している。

事故の責任者の逮捕により、関係者や地元コミュニティは一定の解決を感じているが、今後の安全対策や被害者支援に向けた取り組みが重要視されている。

観光地の客足がまだ戻っていない現状もあり、事故後の観光業への影響が大きい。安全対策が強化されつつも、回復には時間がかかると見られている。

知床・観光船事故 社長逮捕は「一定の区切り」 北海道内有数の観光地、斜里・羅臼 今なお続く打撃

 【斜里、羅臼】小型観光船カズワンの運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一容疑者(61)が逮捕され、オホーツク管内斜里町などの関係者からは「一定の区切りを迎えた」との声があがった。ただ、事故の影響は今も残り、世界自然遺産を抱える道内有数の観光地の客足は、完全には戻っていない。

 事故の発生当時、斜里町長として遺族への対応に奔走した馬場隆さん(73)は「(逮捕は)大きな区切りを迎えたと思うし、ご家族の方も気持ちの整理ができたのでは」と遺族の気持ちをおもんぱかった。山内浩彰町長は「町として今後も被害者家族に寄り添うことを大切にしていきたい」と述べた。

 沈没事故の発生以降、ボランティアで不明者を捜索した根室管内羅臼町の漁業桜井憲二さん(61)は「(桂田容疑者は)運航について最高責任者としての責務がある。そのことについてしっかり向き合ってほしい」と訴えた。

 桂田容疑者が逮捕されたこの日、斜里町ウトロ漁港では、緊急時に近くの船舶に救助要請できる衛星利用測位システム(GPS)付き発信器を身に付けてクルーズを楽しむ乗客の姿があった。仙台市の会社員緑川明文さん(68)は3時間のコースに乗船したが「波が高くてコースの途中で引き返したが、安全対策がきっちりしていると安心した」

 事故の影響で知床観光は大きな打撃を受けた。北海道観光局の調べでは、2023年度に斜里町を訪れた観光客は87万3500人。新型コロナ禍前の19年度(116万5400人)より約30万人少ない。