「ほっとした」「重い処罰を」 遺族、桂田容疑者逮捕受け 知床観光船事故

AI要約

知床観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、運航会社社長の桂田精一容疑者(61)が逮捕された。遺族の安堵や要望、容疑者の反省を求める声が寄せられた。

北海道旅行中の事故で犠牲となった遺族たちは様々な感情を抱えながら、容疑者への重い処罰を望んでいる。捜査機関からの連絡がなかったことへの安堵や進展への期待が示された。

事故に巻き込まれた遺族たちからのコメントや訴えが述べられ、行方不明者の早期発見を願う声も寄せられた。

 知床観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、運航会社社長の桂田精一容疑者(61)が18日、業務上過失致死容疑などで逮捕された。

 突然の悲劇から2年5カ月。遺族は「ほっとした」「重い処罰を」などと心情を明かした。

 事故で行方不明となった小柳宝大さん=当時(34)=の父親(65)は「捜査機関からはずっと音沙汰がなかったから本当にほっとした」と安堵(あんど)した様子。検察からは捜査協力への依頼があったといい、「これからが始まりだ」と力強く語った。

 桂田容疑者に関しては「真摯(しんし)に、素直に反省してほしい」と要望。「自分のどういうところが悪かったか振り返って、心から謝ってほしい」と訴えた。

 北海道旅行中に事故に遭った※(※=木ヘンに勝の旧字体)島優さん=同(34)=の両親は、代理人弁護士を通じて文書を配布した。事故を巡っては、刑事事件としての立件にはハードルが高いとの指摘もあったため、両親は「心配していたが、今は少し安心している」と心情を吐露した。

 その上で「やっとスタート地点に立てたが、これから本番が始まると思うと気が重い。容疑者は潔く自分の罪を認め、できる限り重い処罰が下されることを望む」と続けた。今後については「一日でも早く、息子を感じながら家族全員で前に進みたい」との希望をつづった。

 同様に事故で犠牲になった北海道北見市の鈴木智也さん=同(22)=の遺族も弁護士を通じコメントを発表。「まだ気持ちの整理がついていない」とした上で「なんとか一歩前進したかなという思いだ」とした。

 事故で亡くなった佐賀県有田町の岩永健介さん=同(74)=と地元商工会で約30年の親交があった山中敏さん(75)は「時間はかかったが、一つ前に進めてよかった」と言葉少なに話した。岩永さんと共に事故に遭った商工会仲間の男性はいまだに見つかっていないといい、山中さんは「行方不明者はまだ6人いる。早く見つけてほしい」と訴えた。