和合亮一さん詩集が候補に 米文学翻訳者協会のアジア賞

AI要約

福島市在住の詩人和合亮一さんの詩集を基にした英訳選詩集「SINCE FUKUSHIMA」が米国で刊行され、米文学翻訳者協会のアジア翻訳賞の最終候補にノミネートされた。

詩集は東日本大震災後の福島をテーマにした作品を収録しており、日本の「災害詩」を広めるために編まれた。

和合さんは米国や世界に福島や日本の詩を知ってもらう機会となることに喜びを表明し、同賞はアジアの文学翻訳を評価する賞だと述べた。

和合亮一さん詩集が候補に 米文学翻訳者協会のアジア賞

 福島市在住の詩人和合亮一さん(56)の東日本大震災後から2021年までに発表した詩集を基にした英訳選詩集「SINCE FUKUSHIMA(シンス・フクシマ)」が、米文学翻訳者協会のアジア作品を対象にした「ルシアン・ストライク・アジア翻訳賞」の最終候補にノミネートされた。同協会が12日(現地時間)、公式サイトで発表した。受賞作発表は10月下旬。

 「SINCEー」は「QQQ」「廃炉詩篇」「詩の礫(つぶて)」など複数の詩集から、東日本大震災後の福島についてつづった作品を選び、収録した。日本の「災害詩」を知ってもらおうと編まれ、昨年3月、米国で刊行された。

 訳者は兵庫県立大教授の高橋綾子さんと、詩人で米ドミニカン大教授(日本文学)のジュディ・ハレスキーさん。

 同協会は候補選定の理由について「高度な詩的技巧に加え、日本文学の伝統を踏まえた新しい詩の創造に資する」などとしている。

 和合さんは福島民友新聞社の取材に「福島、そして日本の詩の今について、米国や世界に知ってもらう機会となる。さまざまな表現や文体の切り口で震災後の福島の風景と人々の祈りを多面的に表現した試みが評価されたのだと思う」とコメントした。

 同賞はアジア文学の翻訳・研究者の名前を冠したもので、10年から発表が始まった。賞金は6千ドル(約85万円)。これまでに中国や韓国の作品のほか、16年には翻訳家中保佐和子さんによる詩人左川ちか(1911~36年)の詩集の翻訳が選ばれた。