誕生25周年「シュリ デジタルリマスター」公開! 日韓の映画界を強く結びつけた原点の作品

AI要約

日本映画産業は他国と異なる発展プロセスを経て独自性を保ち、外部的要因に左右されない存在となっている。

大衆の支持を受け、クリエーターを大切にする文化が映画産業の成長を支えてきた。アジアンポップの可能性を広げ、世界市場でも存在感を示す一方、アジアの文物が日本市場を通じて他国に流入する役割も果たしている。

韓国映画産業の代表作『シュリ』が日本市場で成功し、韓国映画の大繁栄を予告する兆候となった。隣国の産業的な進化は、アジア全体に影響を与えている。

誕生25周年「シュリ デジタルリマスター」公開! 日韓の映画界を強く結びつけた原点の作品

改めて強調するが、日本における映画産業の発展は、他国とは全く異なるプロセスを経て今日に至る。国策による政府の豊かな助成金や財閥に象徴される大資本の果敢な投資ではない。いや、むしろプロパガンダに悪用される可能性を極力避ける体質によって、いわゆる「お役所」のちょっとした協力にもあらゆる検証手続きがかかる。要するに、良い意味でも悪い意味でも外部的な要因がないということである。

それでは、何が映画産業を支えてきたのだろうか。それは世界的なハイエンドカスタマー(high-end customers)、すなわち大衆の力だった。クリエーターを大事にし、権利を守り、努力には必ず財貨を払うことを当然視する民度の高さは、アジア人初のアメリカアカデミーの監督賞の受賞、アジアンポップの可能性のアピール、配信のなかった時代にテレビドラマを輸出するなどさまざまなコンテンツビジネスの地平を切り開いた。この背景にあるもうひとつは明治期に、宿屋に宿泊する西洋人の旅行者が「忘れてはならない貴重品がある」と強調したところ、女将が金庫ではなく棚に載せておくことで何も起こらなかったというモラーリッシュな環境ではないか。

欧米の全ての文物は日本市場での検証を通じて他のアジアの国々に流入し、逆に日本は世界市場への文物としての役割を果たしてきたのであろう。隣国の韓国の映画産業としてはOSMU/SSMU(one/single source & multi-use)の代表事例として、ハリウッド映画の新しい地平を開いた「スター・ウォーズ」に匹敵する産業的意義を持つ最初の韓国型ブロックバスターの「シュリ」がこれに当たる。韓国国内ですら15.9%(1993年)という低いシェアを記録していた韓国の映画事情を振り返ってみると、同作が日本に輸入され、18億5000万円という異例の興行収益を上げたのは、その後20年以上続く「大繁栄」を予告した青信号だったともいえる。