尾道水道に浮かぶ円盤、名は「梅丸」 その正体は!? たらいやバケツにモーター付け実験、構想から18年で完成

AI要約

小型で可愛らしい見た目のタグボート「梅丸」が尾道水道で活躍している。

梅丸の開発コンセプトは省人化と早期育成であり、技術習得にかかる時間を大幅に短縮した。

梅丸の船出は困難も伴ったが、省人化と育成の目的は達成され、若い世代も活躍する機会を得ている。

尾道水道に浮かぶ円盤、名は「梅丸」 その正体は!? たらいやバケツにモーター付け実験、構想から18年で完成

 大小さまざまな船が行き交う尾道水道。修繕ドックに出入りする船のそばに、ひときわ目を引く「円盤」が浮いている。

 向島ドック(広島県尾道市)のタグボート「梅丸」だ。かわいらしい見た目でファンも多い。直径8メートル、総トン数は19トンと従来型タグボートの4分の1ほど。船底の推進装置が360度回転し、ジョイスティックを傾けた方向へ自在に動くのが特徴だ。

 開発コンセプトは「省人化と早期育成」。従来型は実務経験も含め技術習得に3年以上かかる。2級小型船舶の免許で操縦可能な梅丸は、数週間程度に短縮。乗員も2人から1人に減らすことができた。

 スワンボートやテーマパークの丸い乗り物から着想を得た。たらいやバケツにモーターを付け実験を繰り返した。構想から18年を経た2016年に完成。シップ・オブ・ザ・イヤーの漁船・作業船部門賞も受賞した。

 ただ、その船出は困難も伴った。えい航用ロープの代わりに採用した吸着装置は画期的とされた一方、動きにくく、外れやすいことも分かった。

 吸着装置は断念。実用化へさらに3年を要したが、省人化と育成は狙い通り。現場では20代が操船を担い、榊原芳文技術部長は「若くして大きな船を出し入れできると、達成感もあるのでは」とほほ笑む。