熱海・泉の農園が「梅ゼリー」 引き継いだ農地で初収穫したウメ使う

AI要約

熱海の農園「たからのはたけ」が南高梅を使用した梅ゼリーの販売を始めた。

農家の夫婦が生産し、青梅の香りを感じる「すっきり淡麗」「こっくり濃厚」の2種類の味わいが特徴。

夫婦の農業参入の経緯や将来の展望、地域貢献への意欲についても述べられている。

熱海・泉の農園が「梅ゼリー」 引き継いだ農地で初収穫したウメ使う

 熱海の農園「たからのはたけ」(熱海市泉)が9月1日、収穫した南高梅を使う梅ゼリーの販売を始めた。(熱海経済新聞)

 「南高梅のしずく」と名付けた梅ゼリーは、青梅の香りをストレートに感じるという「すっきり淡麗」と酸味を抑えたまろやかな味わいが特徴という「こっくり濃厚」の2種類。東京都内で人材紹介の会社を経営する傍ら農業に参入し、同農園を運営する農家の説田慶樹さん・有佳さん夫婦が販売する。8個入りの価格は各3,000円。メールのほかインスタグラムのアカウントに記載したフォームで注文を受け付ける。

 農業参入のきっかけは、仕事の拠点を置いたマレーシアで7年間生活する中で、同国の農業に触れたことだったという。新型コロナの影響で戻った東京から2021年12月、農業に適した場所を探して熱海・泉に移住。2022年4月、市内や湯河原に農地を借りて農業を始めた。

 農業大学校で認定農業者になるための農業技術などを学んだ慶樹さんは「ミカンの栽培地である湯河原や熱海の気候や段々畑の形状が、アボカドの栽培に適していた」と話す。アボカドは収穫まで時間がかかるため、まずは周辺地域であまり栽培していない付加価値のある野菜を販売しようと、ルッコラやケールなど西洋野菜の栽培から始めた。当初はマルシェでも販売していたが、人気で個人向けの対応ができなくなったため、現在では湯河原のレストランなどへの卸売りのみ行っているという。

 今年1月には、熱海・門川でミカンやキウイ、ウメが植わる約1.6ヘクタールの農地を後継者がいない高齢農家から購入。栽培も引き継いだ。梅ゼリーには、南高梅の古木23本から6月に収穫した梅を3カ月ほど貯蔵して作った梅シロップと果肉を使う。例年は1トンほど取れるという南高梅は今年、不作で120キロほどの収穫だったという。

 有佳さんは「日本の誇るべき農業を後世に残し、地域の発展に貢献したい。門川で農業を始めると、周りの農家が助けてくれる。先人の技術や教えを大切にして受け継ぎたい」と話す。今後は、子どもも大人も農作物に触れながら交流できるイベントや場づくりを計画しているという。「地元の人も観光客もみんなが気軽に来られる場所にできれば。地域の人に誇ってもらえるような野菜や商品をつくり出していきたい」と有佳さん。慶樹さんは「いずれは法人化して地域に雇用を生み出していきたい。若い人にも入社してもらい、後継者がいない農地を引き継いで将来につないでいくモデルにできれば」と力を込める。