隠ぺい疑惑の鹿児島県警「百条委」9割超が設置望む 南日本新聞LINEアンケート 「県議会が真相究明を」「膿を出し切って」 態度先送りの自民へ批判も

AI要約

鹿児島県警の不祥事や隠蔽疑惑に揺れる中、県議会での特別委員会設置に対する賛意が高まっている。アンケート調査では、86.4%の回答者が設置を希望し、真相究明や県警再生への期待が強調された。

自民党県議団の姿勢が不透明で、県民の要望とのギャップに不満が広がっている。設置を先送りする現状に対し、真相究明の必要性や信頼回復の重要性が訴えられている。

百条委設置の必要性は高まっているが、その限界も指摘されている。他県事例からの学びや第三者を交えた究明方法に対する提案もある。

隠ぺい疑惑の鹿児島県警「百条委」9割超が設置望む 南日本新聞LINEアンケート 「県議会が真相究明を」「膿を出し切って」 態度先送りの自民へ批判も

 相次ぐ不祥事や本部長による隠蔽(いんぺい)疑惑に揺れる鹿児島県警を巡り、鹿児島県議会で浮上している特別委員会(百条委員会)設置について、南日本新聞はアンケートを実施した。352人が回答し、「設置を希望する」が86.4%にのぼった。「どちらかといえば希望する」の8.8%を加えると、全体の95.2%が百条委設置に賛意を示した。回答者の85%は賛否の理由を聞いた自由記述欄にもコメントを寄せ、「真相を知りたい」「県警の膿(うみ)を出してほしい」など、県議会への期待感と県警再生への強い願いが浮かび上がった。

 アンケートは8月31日~9月1日に、通信アプリLINE(ライン)で呼びかけ、352人が回答した。アンケートは多様な声を聞き取るのが目的で、無作為抽出の世論調査とは異なる。

 百条委設置への賛否を聞いた問いには、「設置を希望する」が302人と最多で全体の86.4%。次いで「どちらかといえば設置を望む」31人(8.8%)。以下、「わからない」8人、「どちらといえば設置を望まない」5人、「設置を望まない」4人だった。

 自由記述欄で理由を聞いたところ、302人が回答した。最多は157人が求めた「真相究明」。「真実を明らかにしないと県警の不祥事は止まらない」(枕崎市・30代女性)、「今の状況では納得も信頼もできない」(鹿児島市・50代女性)など、県議会での質疑や県警の説明への不満があらわになった。

■県民連合が提案、自民が繰り返し先送り

 県議会での百条委設置については、県民連合が6月に提案した。これに対し、最大会派である自民党県議団(34人)が設置の可否に関する結論を繰り返し先送りした。南日本新聞が8月上旬、全県議51人に実施したアンケートでは、公明党県議団(3人)とともに「現段階で個別の回答はできない」とし、個人の考えを明らかにしなかった。

 「県議を選んだ県民の多くが百条委設置を望んでいる」(鹿児島市・50代女性)、「県警に自浄能力はない。今こそ県議会の存在意義を示すべきだ」(鹿児島市・60代男性)など県議会全体への要望のほか、最大会派の自民党県議団が明確な姿勢を示さないことへの不満も寄せられた。

 鹿児島市の70代以上男性は、総務警察委員会の閉会中審査に触れ、「疑念を持たれている県警側の一方的な回答しか得られなかった。一部の自民県議はこれで十分と思っているようだが、このままでは県議会も県警同様、信頼を失う」。姶良市の60代男性は「県民の関心が大きい問題なのに、設置に後ろ向きな議会(自民党)による疑惑隠しとも取れる」と指摘した。

 一方で、鹿屋市の50代男性は「真相究明は必要だと思うが、県議会にそもそも審査能力があるのか疑問。専門家による審議を望む」と第三者を交えた場の設置を要望する。

■百条委にも限界はあるが…

 百条委は、地方自治法第100条に基づき、地方議会が設置し、自治体関係者が関わる疑惑や不祥事の真相を究明するために開く。姶良市の60代男性は、兵庫県議会で進行中の知事パワハラ疑惑を巡る百条委を引き合いに「鹿児島県が設置せず後ろ向きの議論に終始している事態が腹立たしい。正々堂々と真実を追及して膿を出し切ってほしい」。