重い知的障がいのある女性と家族の33年 岩手・花巻市

AI要約

高橋南さん(33)は重い知的障がいを持つ花巻市の住人で、幼少期から家族の愛情を受けて育ちました。

絵を描く才能があり、作品「風のロンド」は高く評価され、商品にもなりましたが、現在は絵を描かなくなっています。

家族は南さんのことを大切に支えながら、彼女の成長を見守りつつ、常に笑顔で暮らしています。

重い知的障がいのある女性と家族の33年 岩手・花巻市

岩手県花巻市で暮らす高橋南さんは、8月に33歳の誕生日を迎えました。

重い知的障がいがある南さんは、10代半ばで描いた「風のロンド」という作品は高く評価され、ハンカチや傘などの商品にもなっています。

南さんは今どんな暮らしをしているのか、家族はどんな思いで子育てをしてきたのか。南さんと家族の33年の歩みを見つめました。

高橋南さん(33)には重い知的障がいがあります。

木の枝に何かをぶらさげるのが日課の1つです。

花巻市で生まれた南さんは、生後まもなく脳に障害があることがわかりました。

母 由美子さん

「難治性のてんかんがあり、(医者から)運動遅滞と知的障がいを伴うということを宣告された。何かどん底に突き落とされたような感じだった」

2つ年上の兄と2人きょうだい。歌や言葉遊びが好きな女の子でした。

小学校からは特別支援学校へ。高等部の頃、先生の指導を受けて描いた絵が「風のロンド」です。

きららアート展で入選したほか、2014年にはFIFAワールドカップを応援する企画として、記念ハガキにもなりました。

母 由美子さん

「風のロンドを見たときに、色合いも温かみがあっていいなって思ってた。他のお母さんたちがこの絵すごくいい感じだよって言ってくれたのが、すごいうれしかった」

「風のロンド」制作後、南さんはほとんど絵を描かなくなりました。

現在、平日は花巻市の障がい者支援施設「ルンビニー苑」で暮らす南さんは「空き缶つぶし」が日々の日課です。

なぜ絵を描かなくなったのか…。その理由は分かっていません。

南さんは、思春期を迎えた10代半ばから気持ちが不安定になることが多くなりました。

机に頭をぶつけたり、気を引く為にわざと倒れたり。強度行動障害と呼ばれるものです。

南さんには好きなことがあります。写真や動画を撮ってもらうことです。

その映像には南さんが靴を履くようになった時のうれしい記録もあります。

母の由美子さんゆっくりと成長する娘を大切に育ててきました。

南さんが幼い頃、こだわったのは髪型でした。

その時々、南さんをおしゃれに彩って。ドレスで着飾った時もありました。

二十歳の時には着物姿に。お母さんが着た着物を着て、いつものように笑いました。

「少しでもかわいくしてあげたいという思いで育ててきた」と話す母の由美子さん。

2024年も家族で誕生日を祝いました。

33歳になった南さん。浴衣でおしゃれをして地元の夏祭りへ出かけました。

いつも変わらない家族のまなざし。その先に今も変わらない南さんの笑顔があります。