障害者アートに接点 静岡県などがレンタルサイトを整備 企業の利用拡大、作家の収入増寄与も

AI要約

障害のあるアマチュア作家の作品を企業や店舗に有償でレンタルする「まちじゅうアート」が静岡県などで注目されている。

新しいポータルサイト「Findart」が開設され、作品や作家の情報が集約されたことで利用が広がっている。

サイト運営者が障害者アーティストの収入向上に成功を見据えている。

障害者アートに接点 静岡県などがレンタルサイトを整備 企業の利用拡大、作家の収入増寄与も

 障害のあるアマチュア作家の作品を企業や店舗に有償でレンタルする「まちじゅうアート」。静岡県などが昨年3月末に新たなポータルサイト「Findart(ふぁいんだー)」を開設したことでサイトを通じた利用が広がっている。三つに分かれていた旧サイトを統合し、作品や作家の情報を集約したことが奏功した。ことし4月の契約企業数は旧サイト時代の22年度同月比で2倍近く増え、作家に還元されたレンタル料は8月時点で120万円を超える。サイト運営者は「障害者アーティストの収入向上に向けたビジネスモデルの成功例に」と意気込む。

 サイトでは、障害者アートならではの独創的な色彩や構図で描いた動物や風景画、鉛筆で緻密に書き込んだ魚などの作品が一覧で表示される。作家ごとにプロフィルや作風を確認できるほか、レンタルの料金を明示し、申し込みもできるようにした。サイト統合から約1年4カ月を経て、ことし8月中旬時点の登録作家は178人、作品数は当初から倍以上の1378点に上る。

 運営団体の一つNPO法人アートコネクトしずおかの遠藤次朗理事(56)は、サイトの統合以前について「レンタルを希望する企業や団体の声は多かったが、受付窓口の存在やレンタル料の仕組みが分かりづらく、接点を持ちにくい状況にあった」と振り返る。

 レンタル作品数は23年3月の197点に対し、24年同月は283点と約1・5倍にまで膨らんだ。サイト運営に携わる県障害者文化芸術活動支援センター「みらーと」の田代大輔センター長(55)はレンタル増加の要因について「(統合後のサイトは)絵柄が具体的に分かって借りる側の展示のイメージが明確になり、作家への共感もしやすくなったのでは」と説明する。

 藤枝市や焼津市を中心にアート活動に取り組む団体「waC」に所属し、サイトに14作品を登録する作家の田中拓実さん(26)も「展示する企業や場所の幅が広がり、得られるレンタル料も増加した。アート活動のモチベーションにもつながっている」と話す。

 田代さんは「サイトに登録していない作家の発掘を進め、レンタル方法を知らない企業への周知にも力を入れたい」としている。