「土手町 象徴なくなった」/市民ら惜しむ声

AI要約

市民らは弘前市の象徴的な百貨店である中三弘前店の経営破綻による閉店に驚きと悲しみを表明。土手町における中三の閉店は地域の活気を損なうことへの懸念も広がっている。

地元住民からは閉店による買い物先の減少や不安の声が上がっており、中三での買い物が日常の一部だった人々は困惑の表情を見せている。

中三での思い出を語る市民もおり、特に若者や中高生の間では懐かしみや後悔の念がにじんでいる。

「土手町 象徴なくなった」/市民ら惜しむ声

 経営破綻に伴う中三弘前店(青森県弘前市土手町)の閉店が明らかになった29日、市民らには「残念」「買い物に困ってしまう」などの声が広がった。60年以上市民に愛され、弘前市中心街を象徴する百貨店が姿を消すことに「土手町が寂れてしまう」と懸念する声も上がった。

 土手町で買い物をしていた弘前市の福田映穂(うつほ)さん(53)は「中三は土手町の象徴。もう営業せず、なくなってしまったのは本当に残念」、同市の50代女性は「近所に住んでいて、昔から土手町でデパートといえば中三。弘前駅前のイトーヨーカドーの撤退は驚いたが、後継スーパーが入る。でも中三閉店では土手町が寂れてしまう」とがっかりした様子。

 買い物をする場所が減ることに不安の声も聞かれた。近所に住み、食品などを買いによく訪れるという小山内エツさん(87)。「普段から客は多くなかったけど、まさか本当に閉店するとは。普段から買い物でよく利用しているからなくなると困る」と途方に暮れた様子。土手町で美容院を経営する同市の木村愛子さん(83)は店を閉めた後に中三で買い物をするのが習慣だった。「うわーショック! これからどこへ買い物にいけばいいのか。そういえば今年は店頭にお中元の商品がなかったのでおかしいな、と感じていた」と話した。

 同店の思い出を切々と語る市民も。同市の中西秋穂さん(24)は「放課後の帰り道、友達と寄り道をして『中みそ』を食べた。ジュンク堂が閉店してから足が遠のいていたけど、もっと行けばよかった」と肩を落とした。同市の福島美和子さん(53)は「高校3年間、『中みそ』などでアルバイトした思い出が詰まったデパート。母親から服を買ってもらったことを思い出す。今は自分の娘に服を買ってあげている。そんな大好きな中三がなくなってしまったなんて…」と声を詰まらせた。

 店舗正面入り口で営業停止の張り紙を眺めていた同市の60代男性は「2019年に紀伊國屋書店が、今春には老舗菓子店の開雲堂が閉店した。弘前の中心市街地からさらに人通りがなくなっていくのではないか」と話した。