過疎進む町に正面から向き合って、面白がったら答えが見えた 若者や移住者が新風吹き込むチャレンジ拠点 国登録有形文化財活用し「横川正丸屋」完成

AI要約

横川市の池田家住宅に新たな拠点「横川正丸屋」がオープンし、若者の夢を支援する施設として注目を集めている。

オーナーの白水梨恵さんは地域に活気を取り戻す取り組みを展開し、古民家を活かした新たな交流の場を提供している。

若者の移住や開業支援に力を入れる横川正丸屋は、地域住民の協力も得ながら、古民家の再生と地域活性化に貢献している。

過疎進む町に正面から向き合って、面白がったら答えが見えた 若者や移住者が新風吹き込むチャレンジ拠点 国登録有形文化財活用し「横川正丸屋」完成

 鹿児島県霧島市横川の国の登録有形文化財「池田家住宅」に、夢を持つ人を支援するチャレンジ拠点「横川正丸屋」が完成した。菓子店やギャラリー、レンタルキッチンを備え、古民家ならではの雰囲気の一画で出店や作品展示ができる。移住や開業支援も請け負い、過疎化が進む街に若者の新しい風が吹き込もうとしている。

 8月上旬オープンし、初日はマルシェが開かれた。陶器、クラフトビール、アクセサリーなど市内外から出店があり、さまざまな年代の客が楽しんだ。オーナーの白水梨恵さん(37)はにぎわう店内を眺め「中高生が集まり、家庭と学校以外の大人と交流できる場所にしたい。農業の6次産業化にも力を入れたい」と展望を語った。

 白水さんは近くで古民家カフェ&ゲストハウスを営む一般社団法人「横川kito」代表理事。鹿児島市出身で、2020年に家族5人で横川に移り住んだ。

 21年にカフェを開き3年たつ中で「店を持ちたい」「個展を開きたい」などの夢を持つ人に多く出会った。金銭面や物件がネックとなっていると知り「チャレンジ拠点」を計画した。

 昨年9月、アメリカン・エキスプレス(東京)の多様性に配慮した店作りとビジネス成長を応援する「RISE with SHOP SMALL」で最高賞を受賞。賞金500万円やクラウドファンディングで集めた144万円などを原資に整備を進めた。

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 池田家住宅は明治時代に建ち、1980年代後半までたばこや塩を売る「池田商店」を営んでいた。「横川正丸屋」のロゴは当時の屋号紋「丸に正の字」を採用した。店名には「正面から街づくりに向き合う」という思いも込めた。

 白水さんは「この場所で過ごした思い出や歴史を大事にしたい」と、所有者の池田研一郎さん(67)=鹿児島市=ら親族の意向を重視。相談を重ね、3月末から4カ月かけてキッチンやカフェカウンターを整備、土間を再生し畳を張り替えた。地域住民も協力した。

 当時のレジスターをそのまま使い、柱に残る「ローソクの消し忘れがないように」などの手書きラベルがかつての暮らしぶりを伝える。池田さんは「長年誰も住まずに傷んでいた。白水さんをはじめ多くの支援で、面影を残した再生ができありがたい」と感謝する。

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 開業へ中心となって尽力してきたのは20代前半の若者だ。移住者もいる。