静岡県内主要企業 半年後の景気「拡大傾向」の回答は減少 静岡新聞社調査

AI要約

静岡県内主要企業の景気動向調査結果によると、景気の先行きは不透明感が強まり、不安要素が強く影響している。

企業の景気認識は前回調査から大きく下降し、特に米国の経済動向や地政学リスクへの警戒が高まっている。

地域産業は難しい状況下で成長戦略を練り、生産性の向上を図る必要があり、金融機関の支援も重要である。

静岡県内主要企業 半年後の景気「拡大傾向」の回答は減少 静岡新聞社調査

 静岡新聞社が20日までにまとめた静岡県内主要企業トップの景気動向アンケートは、半年後の景気を拡大傾向と見通す企業が32・0%で、6割を超えた2023年夏の調査から大幅に落ち込んだ。1月の前回調査(47・0%)からは15ポイントの下降。急変動する金融市場や緊迫が続くウクライナ・中東情勢など国内外の不安要素が強く、景気の先行きを楽観しにくい状況が続いている。

 7月下旬に製造業、非製造業各50社に調査票を送付し、8月上旬までに94社が回答した。現状の景気認識は「拡大」(1・1%)と「緩やかに拡大」(36・2%)の合計が37・3%と、前回調査から10・7ポイント下降した。「横ばい」は43・6%(前回比4・6ポイント上昇)、「緩やかに後退」は14・9%(3・9ポイント上昇)。景気認識の主因は拡大傾向が「企業収益の拡大」の17・0%、後退傾向が「個人消費の減退」の19・1%だった。

 今後の不安材料は「米国の経済動向」が45・7%と、前回の25%から大幅に増えた。今秋の米大統領選が世界経済に与える影響は大きいとみられている。ウクライナ・中東情勢も含めた国際的な地政学リスクへの警戒感も強い。「原材料価格の高騰」は45・7%(前回比17・3ポイント下降)、「人手不足」は43・6%(6・4ポイント下降)。

 金利変動で揺れ動く為替相場を不安視する企業は35・1%。望ましい対ドルの為替レートは、19・1%が「130円以上135円未満」、18・1%が「140円以上145円未満」とした。全体的には120円台から150円台にかけて、ばらつきが見られた。

 2024年末の日経平均株価予測は「3万8千円以上4万円未満」が最多の24・5%。3万円台、4万円以上の見方で全体の約9割を占めた。

■地域産業 試される底力

 県内景気の先行きに不透明感が強まっている。日米の中央銀行による金融政策の違いが急速な円高と株価の乱高下を招き、米大統領選の行方やウクライナ・中東情勢などの地政学リスクも依然くすぶる。長引く物価高、賃上げによる労務費増加が企業業績の下押し要因となる中、地域企業は難しいかじ取りを求められている。

 調査期間中の7月31日に日銀が追加利上げを決めた後、金融市場が大荒れになったのを受けて複数企業から「回答が遅れる」と連絡があった。半年後の景気を拡大傾向とみる企業が2023年夏の調査から半減し、後退傾向が3倍の10社。ほかの設問にも「予測できない」「無回答」との記述が散見され、先の見えない不安がにじむ。

 ただこうした状況下こそ、各社は成長戦略の手を緩めず、稼ぐ力を磨かねばならない。生産性を引き上げて賃上げの原資を捻出し、個人消費の改善へとつなげたい。その好循環を後押しする金融機関の役割も重要性を増す。地域産業の底力が試されている。