世代を超え愛される山 高社山(岐阜多治見市) 

AI要約

 高社山(417メートル)は多治見市西部に位置する山で、地元の人々だけでなく写真家や風景を求める人々も魅了する。

 山頂からは市街地を一望できる大パノラマが広がり、雲海が立ち込める神秘的な光景も楽しめる。

 登山道は広葉樹が茂り、涼しく快適な環境で、登り降りが楽しめる。登山口は急勾配で挑戦的だが、頂上にたどり着いた時の景色は価値がある。

世代を超え愛される山 高社山(岐阜多治見市) 

 岐阜県多治見市西部に位置する高社山(417メートル)は、山を愛する麓の小学生から、ベストショットを求めて毎日のように通う写真家まで、地元の人を引きつける魅力を持つ。急勾配の先には市街地を見渡す大パノラマが広がる。

 8月上旬。絶景を求めて山に通っている風景写真家の宮嶋義一さん(62)=同市昭栄町=に導かれ、高社神社の立派な石の鳥居をくぐって山登りをスタート。広葉樹がうっそうと茂る登山道は8月の日中でもひんやりと涼しく、想像していたよりも快適だった。湿気が多いので虫よけが役立った。

 出発して30分ほどで、下山してきた親子と出会った。「学校で『ヤシロン』の誕生祭があって、また登りたくなった。いろんな自然が見られて楽しい」と話し、笑顔で汗をぬぐった。

 ヤシロンは「高社山にすむ妖精」という設定を持つ同校のマスコットキャラクターで、行事ではテーマ曲を全校生徒で合唱するほど人気がある。行事で登ったことがある卒業生も多く、なじみ深い存在のようだ。

 高社神社の石造りの祠(ほこら)を通り過ぎると道が険しくなり、見上げるほどの傾斜を一歩一歩進んでいく。さらに登ると視界が開け、山頂近くの展望スペースに出た。JR多治見駅前の再開発ビルや中央自動車道の車の流れがミニチュアのように見える。空気が澄んだ早朝には、雲海が町並みを覆い隠す神秘的な光景が広がるという。

 石の鳥居から100メートルほど離れた登山口に降り、往復2時間の山歩きを終えた。下山途中「一生通い続けるんだろうな」と話した宮嶋さんは、少なくとも2日に1回は高社山に登り、日の出前後の幻想的な写真を数多く世に出してきた。「有名な景勝地を訪ねて撮っても『表面的だな』と感じていた時、1カ所で撮り続けることの大切さをこの山が教えてくれた」とつぶやいた。

【案内】中央自動車道多治見ICから車で10~15分。専用駐車場はないが、石の鳥居前に2台ほど止められる広場がある。