7歳の体験に戦争と平和を考える 中国残留邦人3世 大橋遼太郎さんが講演【長野県豊丘村】

AI要約

豊丘村出身の大橋遼太郎さんが中国での学校生活を紹介した歴史講演会で、戦争と平和への思いを語った。

大橋さんは中国滞在中に日本兵による戦争の残酷さを知り、自問自答する中で平和への取り組みを決意した。

現在の日中関係に対して、実際に会って理解を深めることの重要性を訴えた。

7歳の体験に戦争と平和を考える  中国残留邦人3世  大橋遼太郎さんが講演【長野県豊丘村】

 長野県豊丘村史学会と村公民館は11日、同村出身で東京理科大学大学院に通う大橋遼太郎さん(24)を講師に迎え、歴史講演会・平和学習会を開いた。大橋さんは、中国で過ごした3年間の小学校生活をつづった書籍「七歳の僕の留学体験記」の著者。この日は「七歳の少年が体験した中国 戦争と友情と平和」と題し、中国での学校生活を通じて身近に感じた「戦争」について思いを語った。

 大橋さんは、満蒙開拓団として家族で旧満州に渡って残留孤児となり、1978年に永住帰国した祖父のいる中国残留邦人3世。99年に豊丘村で生まれ、2007年から10年まで母親の留学により中国で過ごした。帰国後は豊丘南小学校、豊丘中学校、飯田高校を卒業した。

 この日の講演では、中国での小学校生活を紹介。中国語に苦労しながらも、温かい先生やクラスメートに支えられ友情を深めていたが、ある国語の授業で戦争を突きつけられたと明かした。

 授業で扱われたのは、日本兵が中国の少年を殺してしまう内容の物語だった。「初めて戦争について知り、心が痛くなった。日本人の自分が責められている気がして怖くなった」。もう誰も一緒に遊んでくれないかもしれないと授業が終わっても動けないでいたが、周りにはいつもと変わらない笑顔の友人がいたという。

 この日をきっかけに、「自分が生まれる前に起き、今の自分たちの関係を邪魔しようとする戦争が憎い。でもなかったことにはできない。じゃあどうすればいい」と自問自答を始めた。「負の歴史を学び、そこから目を背けるのではなく、自分に何ができるかを考え続けていきたい」と決意した。

 現状について「日中両国で相手国に対する印象があまり良くない状態にあることが悲しい」とし、「実際に会って関わりを持つと、互いに親切で寛容であることが実感できる。自分の体験を多くの人に伝えることで相互理解を促し、友好平和に少しでも寄与できれば」と力を込めた。