巨大地震に備えて専門家がアドバイス、知っておきたい生き延びる知恵…ラップは万能防止グッズ 持って歩ける荷物の重さは? 正確な情報取得が大事

AI要約

鹿児島県で最大震度5強を記録した宮崎県南部の地震では、気象庁が南海トラフ地震「臨時情報(巨大地震注意)」を初発表。防災関係者は家屋内での防災や避難の重要性を強調。

防災グッズの再確認や家屋内の地震対策、津波への対応など、南海トラフ地震への準備が必要。重要なのは情報共有や適切な行動。

学校を避難所とする場合、鹿児島県内の防災対策の遅れや不備が指摘される。飲料水確保や非常用設備の整備が急務。

巨大地震に備えて専門家がアドバイス、知っておきたい生き延びる知恵…ラップは万能防止グッズ 持って歩ける荷物の重さは? 正確な情報取得が大事

 鹿児島県で最大震度5強を記録した宮崎県南部の地震では、気象庁が初の南海トラフ地震「臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。発生の可能性が平常時より高まっているとして、1週間を目安に備えの再確認を求めている。防災関係者は避難や家屋内での防災に向けた対策を改めて促す。

 「避難所は何でもそろっている訳ではない。まずはリュックサックの中身を再確認して」。南海トラフ地震への警戒を柱の一つにする、姶良市の県防災研修センターの案内員馬場ひとみさん(59)は力を込める。

 中身は水や食料はもちろん、性別や持病などによって異なる。重宝するグッズに挙げるのはラップ。皿や包帯、ねじればロープになる幅広い使い方が期待できる。離れた家族らと電話連絡できるようモバイルバッテリーを準備するほか、連絡先を手帳などに記しておくことも重要と訴える。

 長距離を歩く可能性を考えると、詰める荷物の重さは体重の10分の1程度が限度という。「試しに背負って歩いてみてほしい」とアドバイス。仕事や学校といった出先によって家族の避難先が異なる場合、事前の情報共有は欠かせない。

 家屋内の主な地震対策は、(1)逃げ道となる玄関や廊下に物をなるべく置かない(2)タンスや本棚、テレビが倒れないように固定(3)ベッドを窓やタンスの近くに設けない-などだ。「地震は時間を選ばず発生する」とし、懐中電灯は部屋ごとに見える場所に置くよう勧める。

 津波については高さ50センチでも大人が流されるとし、「津波の恐れを感じたら、何も持たずにとにかく逃げてほしい」。旅行先などでも海や川に近ければ高台を探しておくといいと話す。

 交流サイト(SNS)による虚偽情報も社会問題化している。「SNSを見たい気持ちは分かるが、新聞やラジオなどのニュースで情報を得てほしい」と話した。

◇防災拠点としての学校、県内目立つ対策遅れ

 宮崎県南部で8日、震度6弱の地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が発表された。万一の場合、懸念されるのが避難所としての学校の防災機能だ。鹿児島県内を見ると、飲料水の確保や非常用電源などの防災対策は遅れが目立つ。酷暑も続く中、教育関係者からは不安の声が漏れる。

 文部科学省が2023年7月に発表した調査によると、避難所に指定された県内公立学校で飲料水が確保できているのは53.3%(22年12月1日時点)と、全国平均の80.8%を大きく下回る。

 断水時のトイレ対策ができている学校は45.1%止まりで、こちらも全国の73.6%には及ばない。このほか、非常用発電機は33.8%(全国平均73.2%)、冷房機器がある学校は43.2%(同64.9%)にとどまる。

 肝付町は、中学2校の体育館が避難所に指定されているが、冷房機器は設置されていない。町教委教育総務課の大窪修雄課長は「避難者が生活できる環境を維持できるか不安」と話した。

 県教育委員会学校施設課の西村薫課長は、地震発生を受け「市町村教委が防災担当部局と連携して整備を進めていけるよう、引き続き呼びかけていく」としている。