愛された名店、12日に幕 福島市の模型店「新光堂」 10日から最後の営業

AI要約

福島市の「模型の新光堂」は12日に閉店する。70年以上、ファンに愛されてきたが、店主高野弘さんが6月に92歳で死去した。

終戦後、スズラン通りで開業し、昭和30年代初めに現在の店舗に移った。プラモデルブームや家族の支えを受けながら店を続けた高野さんは、お客さんとの会話を大切にしていた。

高野さんの死後、長女が土日のみ営業を続けている。常連客からは愛される店と共に父への感謝の気持ちが伝えられている。

愛された名店、12日に幕 福島市の模型店「新光堂」 10日から最後の営業

 福島市の「模型の新光堂」は12日に閉店する。70年以上、ファンに愛されてきたが、店主高野弘さんが6月に92歳で死去した。ラジコンやプラモデルなどがそろい、昭和から令和にかけて街に明かりをともした。最後の営業は10~12日の3日間。長女高橋純子さん(64)は「長年の感謝の気持ちを伝えたい」と話している。

 終戦後、スズラン通り(現パセオ通り)で開業した。当初は空き缶や銅線で作った模型を販売していた。昭和30年代初め、市内新町にある現在の店舗に移った。

 1979(昭和54)年、アニメ「機動戦士ガンダム」の影響でプラモデルが人気となり、店は繁盛した。1989(平成元)年、妻幸子さん=享年(55)=が亡くなった。弘さん自身も70歳と86歳の時に2度の大病を経験した。店を続ける意志は強く、退院後すぐに店に戻った。純子さんは「お客さんとの世間話が好きだった」と振り返る。「100歳まで経営する」とよく口にしていたという。

 豊富な品ぞろえと穏やかな人柄に常連が集まった。市内の遠藤俊博さん(74)は息子や孫を連れて通った。「子どもたちに優しく、兄のような存在」と別れを惜しんだ。

 弘さんの死後、純子さんは土日のみ店を開けている。純子さんは「(常連客に)店と父を愛してくれてありがとうと伝えたい」と語る。3日間の営業時間は午前11時から午後5時まで。問い合わせは同店へ。