長崎・矢上町の中華料理店「あたか」 店の名を残したいと再出発

AI要約

中華料理店「あたか」が長崎市矢上町で復活オープンした。店は3代目店主・松尾理恵さんの父が1974年にオープンし、地元でも親しまれてきた。

40年前に現在の場所に移転した店は、1階にカウンターやテーブル席、2階に宴会場を構える。しかし、弟が亡くなり、松尾さんが再出発を決めることになった。

現在はランチタイムのみ営業し、定番メニューを提供している。家族で協力しながら店の味を復活させる意気込みが感じられる。

長崎・矢上町の中華料理店「あたか」 店の名を残したいと再出発

 中華料理店「あたか」(長崎市矢上町)が7月15日、復活オープンした。(長崎経済新聞)

 今年で51年目を迎える同店は3代目店主・松尾理恵さんの父が1974(昭和47)年、スーパーや商店が立ち並ぶ商店街の一角にオープン。店名は「温かいご飯を届けたい」「おいしい中華料理を食べて温かい気持ちになってほしい」などの気持ちを込める。開業当初はカウンターだけの店構えで、大人から学校帰りの子どもまで気軽におなかを満たせる町中華として親しまれてきた。1982(昭和57)年7月23日に発生した長崎大水害で、同店も1階の天井付近まで浸水し、大きな被害を受けたが営業を再開していた。

 40年ほど前に現在の場所に移転した同店。カウンターやテーブル席が並ぶ1階と共に2階に40人ほどが利用できる宴会場を構えることから、法事や地元企業、地域の集まりの場としても親しまれてきた。父の店で手伝いをしてきたが、6年ほど前に弟が継ぐことになったことから会社員として就職し店を離れていた松尾さん。その後、コロナ禍で客足が遠のいたことから店のあり方を模索しながら店を切り盛りしてきた弟が今年4月に突如倒れ、志半ばにして亡くなった。

 「地域の人に親しまれてきたので『これからこの店はどうなるのか』と心配の声も多くもらった」と振り返る松尾さん。娘や息子から「店の名前を残していきたい」と背中を押され、厨房を手伝ってきた母や長年支えてもらっていた板前の力も借りて再出発を決めた。

 現在は「ちゃんぽん」「皿うどん」「焼き飯」(以上750円)などの定番メニューや「カツ丼」(850円)などの丼を中心に、ミニチャーハンとミニラーメンのミニセット(700円)、ミニチャーハンとミニちゃんぽんのミニセット(800円)などをランチタイムのみ提供する。

 松尾さんは「父と母が残してくれた店を子どもたちも残していきたいと後押ししてくれ、弟が始めていたSNSの発信を娘が引き継ぐなど、家族で得意なことを分担しながら支え合うかたちで再出発することができた。弟が残したレシピなどもあるので、母の協力も得ながら少しずつでも店の味を復活させていきたい」と意気込む。「男性客や地域の人の利用が多いが、まずは家族連れや女性も気軽に入れる店を目指し、これからの形を模索していきたい」とも。

 営業時間は11時~15時。日曜定休。