つながることで孤立せず育児楽しく コロナ禍に発足し1200人集うまでに輪が広がったオンラインコミュニティー「ママ集まれ!」

AI要約

コロナ禍で孤立感を感じる子育て中の親たちのために、大分市の女性が立ち上げたオンラインコミュニティー「ママ集まれ!」は、約1200人の女性が集まり、九州最大規模の母親コミュニティーとなっている。

コミュニティーでは、テーマ別のサークルやオープンチャットを通じて子育ての悩みや情報を共有し合い、交流会なども開催されている。

参加者の中には、孤独感から救われる人や地域になじめない人たちがお互いを支え合い、子育てを楽しく乗り越える姿が見られる。

つながることで孤立せず育児楽しく コロナ禍に発足し1200人集うまでに輪が広がったオンラインコミュニティー「ママ集まれ!」

 コロナ禍では対面の交流が制限され、子育て中の親たちも孤立感を募らせた。「気軽におしゃべりできる場を作ろう」。そんな思いで大分市の女性が4年前に立ち上げたオンラインコミュニティー「ママ集まれ!」。今では大分県を中心に九州各地に広がり、20代~60代の女性約1200人が集う。母親らがメンバーのコミュニティーとしては九州最大規模といい、直接顔を合わせる交流会なども展開。誰かとつながることで、育児を楽しく-。そんな輪が広がっている。 (新西ましほ)

 2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大で突然の休校や外出自粛が始まった時、大分市の本室朝美さん(44)が真っ先に思ったのは「他のお母さんたちは大丈夫だろうか」ということだった。

 自身も当時、小3、小1、4歳の3人を子育て中。コロナ前、夫が忙しく実家も頼れない「ワンオペ」の中、子育て支援施設や幼稚園の送迎で出会ったママ友が支えてくれた。上の子2人は小学生になったが、未就学児の頃だったらきっとこの環境に耐えられない。家にいても誰かとつながれる場所を作ろうと、「ママ集まれ!」を立ち上げた。

 発足からわずか1週間で大分県内の約200人が登録した。みな同じ思いだと実感した本室さん。翌21年には福岡県などに支部ができた。

 現在は県ごとに乳幼児、多胎児、県外出身などテーマ別のサークルがあり、通信アプリLINE(ライン)の交流機能「オープンチャット」を使って子育ての悩みや情報を共有し合う。コロナ禍ではオンラインでイベントをしていたが、今は公民館などでも交流会を開くようになった。

 「サークルの存在に支えられ、救われてきた」。2歳の三つ子を育てている大分市の女性(37)は、妊娠中から「ママ集まれ!」の多胎児のサークルに参加している。三つ子の妊娠、子育ては分からないことだらけで、育児書も参考にならない。チャットで知る先輩ママたちの経験が頼りだった。子どもが1歳を過ぎるまでは外出どころではなく、オンラインのお茶会は、唯一家族以外と話せる時間だった。

 「ものすごく孤独で、社会から置いて行かれたような気持ちだったけど、同じ境遇の人たちと話すだけで心が軽くなり、もやもやが晴れた」。自身の経験が誰かの役に立てばと、イベント時のスタッフとしても関わり始めた。

 結婚を機に大分県に来たという沖縄県出身の女性(39)は、地域の子育て広場に行っても気が引けて他の母親たちの輪に入れなかったという。「ママ集まれ!」を知って県外出身者サークルに参加するようになり、気軽に話せる仲間ができた。「実家に帰れなくてさみしいとか、方言で困ったとか、共感できることが多いから居心地が良くて。お出かけする機会も増えた」と話す。

 本室さんが「ママ集まれ!」の発足当時から貫いているのは、交流会などへの参加費を無料にすること。「お金がかかるから行けないという人が出ないように」という思いからだ。資金は、運営会社を立ち上げて自治体の事業を受託したり、企業の協賛を募ったりして確保している。

 「頼れる場所がいくつもあれば、子育ては楽しく、豊かになる。孤立する女性が一人もいなくなるように活動を広げていきたい」