2警官乗ったパトカー、堤防決壊し流されたか 現場に強い水流痕跡

AI要約

新庄市本合海で、車の救助に向かった新庄署員2人が死亡した事故の原因が、新田川の堤防決壊による速い水流による可能性が高いと判明。

救助隊が到着時には周囲が冠水し、水深は浅かったが、流れは速かったと報告されており、車が流された可能性が指摘されている。

阿子島名誉教授によると、氾濫原の地形は大雨でどこでも起こり得る危険性があり、今回のような悲劇は避けられない可能性がある。

 新庄市本合海で、立ち往生した車の救助に向かい、死亡した新庄署員2人がパトカーごと流された原因について、近くを流れる新田川の現場上流側の堤防が決壊し、比較的速い流れが発生していた可能性が高いことが30日、阿子島功山形大名誉教授(80)=地形学=への取材で分かった。現場周辺は、河岸段丘に挟まれ、氾濫した水が流れ込みやすい平地の「氾濫原」となっている。

 阿子島名誉教授は山形新聞社がドローンで撮影した現場上空からの画像などを精査し、国土地理院の電子地図データ「基盤地図情報」を活用して地形や水の流れを分析した。現場一帯は水田が広がり北側に新田川の堤防と河岸段丘に小高い丘、南側にも河岸段丘がある。流された現場とされる、福田山橋を通る道路付近は、水が集まりやすく「過去にも川の氾濫で冠水した氾濫原だと推測できる」と指摘する。

 道路よりも約700メートル上流側で新田川の堤防が決壊していることが確認されている。川の水は決壊部分から氾濫原に流れ込み、パトカーや立ち往生した車が通っていたとみられる道路に到達。画像の分析などにより、道路脇に強い水流で地面が掘れたような痕跡が確認できることから、流れは速く、パトカーや車を押し流す力はあったとみられる。

 最上広域市町村圏事務組合消防本部の話では、救助隊が現場到着時は周辺が冠水し、水深は浅かったものの、水流は速かったという。阿子島名誉教授は「ある程度の速さの水流であれば水深30~40センチでも車は浮き、流される可能性がある」と指摘。河岸段丘に挟まれた川の近くにある氾濫原では、今回のような大雨が降った場合「どこでも起こり得る」とも言及した。

 今回の現場ではパトカー以外の車3台が立ち往生していたとみられ、救助に向かった新庄署員2人は、パトカーごと流されたという。パトカーは転覆し、2人はさらに下流側で遺体で見つかっている。