19、20年度マグロ無報告 青森県、行政処分できず

AI要約

大間漁協などに所属する漁業者がクロマグロ漁獲量の一部を報告しなかった問題で、県は2019、20年度の報告義務違反の漁楲数量が92.6トンになったことを公表。

漁業法が20年12月に改正されたため、19、20年度分には法的根拠がなく、21年度分の行政処分の手続きを進めると発表。

漁業者が報告義務違反を犯し、19、20年度ともに漁協に所属する11人と23人が判明。国に報告後対応策をまとめるとする。

 大間漁協などに所属する漁業者がクロマグロ漁獲量の一部を青森県に報告しなかった問題で、県は29日、2019、20年度の報告義務違反の漁獲数量が合わせて92.6トンになったと正式に発表した。資源管理を目的に漁獲量の報告を求める漁業法が20年12月に改正されたため、県によると、19、20年度分は行政処分を出す法的根拠がない。このため県は法改正後の21年度分のみ行政処分の手続きを進めている。

 県は調査結果を30日付で国に書面で報告する。水産庁の担当者は取材に「今回の数字が国内外に与える影響は大きい。法律が変わり行政処分ができないとしても、県にはできるかぎりの対応を検討してほしい」と注文した。

 県の発表によると、報告義務違反の数量の内訳は、19年度が大型魚(30キロ以上)2.2トン、小型魚(30キロ未満)1.3トンの計3.5トン、20年度が大型魚82.7トン、小型魚6.4トンの計89.1トン。19、20年度ともに大間、奥戸(大間町)、大畑町(むつ市)のいずれかの漁協に所属する漁業者が違反していた。所属漁協ごとの違反数量の内訳は公表していない。

 違反者の人数の内訳は、19年度が11人(大間8人、奥戸1人、大畑町2人)、20年度が23人(大間18人、奥戸1人、大畑町4人)。県によると、21年度と重複する漁業者もおり、合計人数は非公表。産地仲買業者と直接取引したとしているが、社名は明らかにしていない。

 クロマグロは資源管理のため国や地域ごとに漁獲枠が定められており、都道府県別に年間漁獲枠を配分。漁業者は県に漁獲量を報告する義務があり、超過があった場合は原則として国が翌年度以降の漁獲枠から差し引くルールがある。

 国は県から報告を受けた後、19、20年度の漁獲実績を再計算する。その後超過分についての対応策をまとめ、国の水産政策審議会に諮問する。

 クロマグロの水揚げ実績のある県内漁協などで構成する「クロマグロ協定管理委員会」の堀内精二会長は「新たに報告義務違反が判明し非常に残念。漁業者として道義的な責任を果たす必要がある」とし、今後同委員会の議題に取り上げる方針を示した。

 宮下宗一郎知事は「こうした違反を二度と発生させることのないよう、国とも連携しながら、漁業者をはじめ漁業関係者などの指導を徹底していく」などとコメントを発表した。

 一連のクロマグロ漁獲量無報告問題を巡っては、県が23年8月から19、20年度分の調査を開始。これ以前は証拠が見つからず、県は一連の調査を終えたとしている。