鹿児島県 『島へ。』最新号 奄美など琉球諸島の生物特集 「固有種」「絶滅危惧種」一大宝庫 大和村クロウサギ施設も紹介

AI要約

海風舎刊行の専門雑誌『島へ。』最新号で、奄美など琉球諸島の生物に焦点を当て、離島の固有種や絶滅危惧種を紹介している。

特にアマミイシカワガエルやオキナワイシカワガエルなど琉球諸島の固有種に注目し、生息環境や保護施設について詳細に解説している。

アマミノクロウサギの新施設や生態展示室の整備状況、課題として挙がる交通事故や食害問題にも触れられており、離島の生物多様性に関する理解を深める内容となっている。

鹿児島県 『島へ。』最新号 奄美など琉球諸島の生物特集 「固有種」「絶滅危惧種」一大宝庫 大和村クロウサギ施設も紹介

 海風舎刊行の専門雑誌『島へ。』最新号で、「離島は『固有種』と『絶滅危惧種』の一大宝庫」として奄美など琉球諸島の生物を特集している。世界自然遺産登録地もある中、「世界有数の生物多様性のシンボル」を伝えており、来年4月大和村にオープン予定のアマミノクロウサギ新施設も紹介されている。

 特集の最初に写真で掲載しているのが「琉球諸島の美しい両生類、爬虫(はちゅう)類たち」。緑色ベースの体色で「日本一美しいカエル」とされるアマミイシカワガエルと近縁種のオキナワイシカワガエルについては奄美大島、沖縄島北部の固有種であることを説明する。

 九州から台湾にかけて約1200㌔㍍の北琉球・中琉球(奄美諸島など)・南琉球で構成する琉球諸島の固有種図鑑は、沖縄大学人文学部こども文化学科教授の盛口満さんが監修。奄美諸島に関しては、奄美大島・徳之島に生息するアマミノクロウサギと、沖縄島北部などにも生息するケナガネズミ・トゲネズミを紹介、両ネズミについて「アマミノクロウサギと同様、ユーラシア大陸から渡って来て中琉球の分離後、島に取り残され、そのまま長く生き続けた遺存固有種(もとはいろいろな場所にいた生物が特定の地域だけに残ったもの)」としている。

 「離島のSDGs(持続可能な開発目標)を考える」コーナーでは、大和村で整備が進められているアマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)を紹介。専門の獣医が常駐し、けがをして保護されたクロウサギの治療とリハビリを行って野生復帰を目指すが、施設機能としては▽生息する自然環境を再現し、ガラス越しに観察できる屋外展示施設▽夜行性のクロウサギの活動を昼間でも見られる昼夜逆転の環境を保った生態展示室―などがあり、児童生徒の環境教育の場、研究活動の場としての活用も期待されているという。

 クロウサギの生息数は外来種マングースの駆除活動などによって徐々に増加している一方で、交通事故による死亡事例が増えていることや農作物の食害問題、オーバーツーリズムの影響といった課題にも触れている。このうち特産果樹タンカンの樹皮被害など食害については「個体数の増加に伴い食害が増え、現地の農家を悩ませている」として新施設(大和村の施設)では、「リハビリ中のアマミノクロウサギの餌の嗜好(しこう)性や身体能力の測定、忌避(きひ)剤の効果を調べ、食害対策に役立ていることを目指す」としており、実現すれば農家にとって「迷惑な存在」が改善されそうだ。