熊本市電が脱線、田崎橋~二本木口間で運休 今年のトラブル10件に

AI要約

熊本市電が田崎橋-二本木口間で脱線し、乗客や乗員にけがはなかった。市電の今年の運行トラブルは10件目で、現在運休中。

事故原因は調査中で、脱線は「重大事故」に該当。市電は再発防止に取り組む中での出来事。

市長は再起する強い決意を示したばかりだが、市電の課題が続く中、安全な公共交通機関としての信頼を築く必要がある。

熊本市電が脱線、田崎橋~二本木口間で運休 今年のトラブル10件に

 26日午前11時13分ごろ、熊本市電が田崎橋-二本木口電停間(同市西区)で脱線した。田崎橋を出発し、健軍町方面に向かっていた。市交通局によると、乗客2人と乗員2人にけがはなかった。市電の運行トラブルは今年10件目。

 市電は午後5時現在、田崎橋-二本木口間を運休し熊本駅前で折り返し運行している。復旧のめどは立っていない。

 市電では今年に入り、ドアを開けたままの走行や、運転士の信号見落としなどのトラブルが続発。脱線は国の規則に基づく「重大事故」に該当し、事故につながりかねない「重大インシデント」よりも重い事案という。原因は調査中。

 市交通局によると、市電は2両編成で50代の男性運転士が運転。田崎橋電停から50メートルほど走った後、進行方向を切り替えるポイント付近で脱線した。前方1両目の車輪がレールから横に約10センチ外れ、そのまま4・7メートル進んだ。

 運転士が12メートルほどバックさせ、車輪がレールに戻った。内部規定は脱線の場合、車両を動かさずに交通局に報告するとしているが、運転士は「頭が真っ白になり、バックした」と話したという。

 市電は8月1日に開業100周年を迎え、記念式典を予定している。大西一史市長は相次ぐトラブルを受け、7月24日の記者会見で「市電を安心して利用してもらうため、安全な公共交通機関として再起する強い決意を示したい」と述べたばかりだった。

 26日に記者会見した市交通局の松本光裕次長は「再発防止に取り組む中、このような事案が発生したことを厳粛に受け止めている」と陳謝した。(臼杵大介)