熊本市電が脱線 運行トラブル、今年10件目 「反省しかない」

AI要約

26日午前11時15分ごろ、熊本市の市電が脱線。乗客や乗員にけがはなく、市交通局が原因調査中。過去のトラブルも含めて対応が問題視されている。

脱線はポイント付近で発生し、車両の異音と衝撃を感じた運転士が停車。車輪が脱線しており、脱線距離や幅が明らかになっている。

市電は過去にもトラブルが続発しており、九州運輸局も立ち入り検査を実施。市交通局は対策を検討中であり、厳しい対応が求められている。

熊本市電が脱線 運行トラブル、今年10件目 「反省しかない」

 26日午前11時15分ごろ、熊本市の路面電車・市電の車両(乗客2人、乗員2人)が、同市西区春日の田崎橋電停―二本木口電停間のポイント付近を走行中に脱線した。けが人はなかった。市交通局は重大事故として九州運輸局に報告し、原因を調べている。8月1日に開業100年となる市電は2024年に入り運行トラブルが続発。今回の脱線で計10件となった。

 市交通局によると、田崎橋発健軍町行きの2両編成車両(全長約18・5メートル)の運転士が異音と衝撃を感じて停車すると、1両目の四つの車輪が脱線していた。脱線して進んだ距離は4・7メートル、脱線幅は約10センチとみられる。

 ポイントは単線から複線に入る地点にあり、単線区間から来た車両が自然に左側に進む仕組み。市交通局は人的ミスは考えにくいとしてポイント、レール、車両に不具合がなかったか調べる。一方、脱線後に運転士が自身の判断で車両を後進させて車輪をレール上に戻しており、この行為を「不適切だった」とした。

 市電では24年1月以降、走行・移動中にドアが開く事案4件、赤信号の見落とし・誤認3件などのトラブルが発生。7月10~12日に九州運輸局が立ち入り検査し、25日には市交通局が設置した有識者委員会で対策の中間報告書案をまとめたばかりだった。市交通局の松本光裕次長は記者会見で「厳粛に受け止めている。反省しかない」と謝罪した。【中村敦茂】