彫刻家の南部さん(富山)、竹の香り商品化へ 精油抽出で新たな活用、放置林整備の一環

AI要約

竹を創作に用いる彫刻家、南部治夫さんが、竹の香りの商品化を進めている。竹林整備に取り組む中で新たな活用方法を模索し、竹から精油を抽出して爽やかで落ち着く香りをつくり出した。

南部さんは地元で竹林整備に取り組む一方、彫刻家としても竹を使った作品を制作してきた。竹の新たな活用法を見つけることで、社会問題に対して提案をしている。

南部さんはガラス作家や和紙職人と協力してキャンドルやお香、ディフューザーの試作品を完成させ、展示会を予定している。

彫刻家の南部さん(富山)、竹の香り商品化へ 精油抽出で新たな活用、放置林整備の一環

 竹を創作に用いる彫刻家、南部治夫さん(66)=富山市寺町けやき台=が、竹の香りの商品化を進めている。地元で竹林整備に取り組む中で、竹の新たな活用方法を模索してきた。「放置竹林のような社会問題に対して、これまでにない新たな提案をしていくことは私の目指す芸術活動と重なる。成功モデルを示せたらいい」と意気込んでいる。

 南部さんは地元住民でつくる「ふるさと再生塾」の代表として長年、呉羽丘陵の竹林整備に力を入れてきた。県の起業未来塾を受講し、竹林整備の事業化について学んだこともある。

 10年ほど前から香りに着目し、試行錯誤を重ねて竹から精油を抽出することに成功。取り出せる量はわずかなため、他の天然の精油もブレンドすることで、爽やかで落ち着く香りをつくり出した。

 射水市のガラス作家、泉秀明さんや南砺市の和紙職人、宮本謙三さんと協力し、キャンドルやお香、ディフューザー(香りを拡散させる器具)の試作品が完成。年内にも展示会を開きたいという。

 彫刻家としては、放射状に並べた竹の中央に、うなだれる木彫の人物像を配したり、女性像に降りかかる雨をすす竹で表現したりしてきた。虐げられたもの、疎まれたものの中にある価値に目を向け、世間に示すことを信条としてきた。「厄介者とされる竹も同じ。新しい活用法を紹介できたらいい」と話している。