「鷹の祭典」改め「鷹祭 SUMMER BOOST」。街へ飛び出す新イベントの仕掛け人が明かす真の狙いは…【第2期OTTO!学生スポーツゼミ②】

AI要約

福岡ソフトバンクホークスの井上勲ブランド推進本部長が、新イベント「鷹祭 SUMMER BOOST」を紹介。ファンを楽しませる工夫や背景を語る。

ホークスのファンを拡大してきた「鷹の祭典」の歴史や成功要因、今年の大幅リニューアルの意図について。

「鷹の祭典」の特徴や成功事例などを通じて、ホークスのブランド戦略やファンエンゲージメントについて理解を深める。

「鷹の祭典」改め「鷹祭 SUMMER BOOST」。街へ飛び出す新イベントの仕掛け人が明かす真の狙いは…【第2期OTTO!学生スポーツゼミ②】

 西スポWEB OTTO!が開講した第2期学生スポーツゼミの第2回が、西日本新聞天神南ビル(福岡市)で開かれた。ゲストは福岡ソフトバンクホークスの井上勲ブランド推進本部長。今季ホークスは、ファンと一体で試合を盛り上げる恒例イベント「鷹の祭典」を一新し、新たに「鷹祭 SUMMER BOOST」と名付けたイベントを始める。井上さんは新企画の狙いを熱く語り、学生たちはイベントを盛り上げるアイデアを提案しようと知恵を絞った。

 ■ホークスブランドの現在地

 「福岡県でのホークスの認知度は98%、そのうち関心度は65%と(他球団に比べて)かなり高い。さらにファンの割合は40%を占める」

 井上さんは、1989年に大阪から福岡に本拠地を移して35年となる「ホークスブランド」の現在地を具体的な数字で説明した。

 かつてセ・リーグに比べ圧倒的に人気がなかったパ・リーグ。「私の子どもの頃は一家に1台しかテレビがない時代で、野球中継は巨人戦ばかり。20年前まで九州の福岡以外の県は巨人ファンが多かった」。そんな時代を経て、九州各県や関東圏にもファンを拡大していくプロセスで重要な役割を果たしたのが「鷹の祭典」だった。

 ファンの間で定着した「鷹の祭典」を大幅に見直した背景には何があったのか。その後に続く井上さんの解説は興味深かった。

 「今年のホークスは勝ち過ぎと言われるが、それでも勝率68%で、3試合に1回は負ける計算。勝ち負けをコンテンツにするのではなく、負けても楽しかったという工夫が大事になってくる」

 井上さんは、ホークスが他球団に先駆けて取り組んだファンを楽しませるさまざまな仕掛けの原則を語った。

 井上さんと掛け合いのトークをしたのは、2年前までホークスでブランド戦略やプロモーション部門を担ってきたゼミ長の市川圭之介・日本経済大准教授(西スポWEB OTTO!特別アドバイザー)。「負けても楽しかった」という仕掛けの象徴である「鷹の祭典」についてこう述べた。

 「鷹の祭典の基本は、その試合だけ限定のユニホームを作り、来場者全員に配ること。街の人やタクシー、バス、銀行の窓口の方にも着てもらう。目指したのは、どんたく、山笠、放生会に続く、福岡で四つ目のお祭り。来場した4万人の一体感と特別な体験を持って帰ってもらうこと」

 昨年の鷹の祭典は計9試合のうち8試合が満員御礼、計33万人を動員した。

 なのに今季なぜホークスは、すっかり定着した人気イベントを大胆に衣替えするのか?