陸奥湾ホタテ親貝が最少/今年も高水温懸念

AI要約

陸奥湾内の漁業者が保有する養殖ホタテガイの成貝(受精後2年以上)の枚数が過去5年平均の45%にとどまる結果が明らかになった。

湾内のホタテ保有枚数は全体的に減少しており、親貝の不足が来年の水揚げに影響を及ぼす可能性がある。

近年の高水温で稚貝が大量死したことが親貝不足の一因であり、適正管理や高水温対策が喫緊の課題となっている。

 陸奥湾内の漁業者が保有する養殖ホタテガイのうち、親貝となる成貝(受精後2年以上)の枚数が7459万枚と過去5年平均の45%にとどまり、現在の集計方法となった2009年以降で最も少ないことが、青森県が16日公表した春季実態調査結果で明らかになった。昨夏の高水温で稚貝が大量死したことが要因。このまま親貝が不足した場合、来年の水揚げへの影響が懸念されるため、県は親貝確保や今後の高水温対策を徹底するよう呼びかけている。

 調査は各漁協や県、市町村などが5月20~31日に湾内各漁協で実施。県が16日、青森市の県水産ビルで関係者に結果を報告した。

 県などが湾内全漁業者に聞き取りした4月末現在のホタテ保有枚数は、5億7211万枚。内訳を見ると、半成貝(受精後1年程度)が4億466万枚、新貝が9286万枚(同1年半)と、いずれも過去5年平均の半分以下だった。

 ホタテは海水温が23度以上になると生育に影響が出るとされるため、県は養殖施設を水温の低い深部に沈めるなど適正に管理し、親貝の確保に努めるよう呼びかけている。

 一方、今春時点での半成貝の生育は順調に推移している。死んだホタテの割合を示すへい死率は2.8%、異常貝の発生率も2.6%と、いずれも平年並み。平均の貝の長さは7.1センチと平年よりもやや小さいが、全重量は41.2グラム、身の重さを示す軟体部重量は16.0グラムといずれもほぼ平年と同様だった。

 青森産業技術センター水産総合研究所(平内町)の野呂恭成総括主幹研究専門員は、春時点の生育が順調な理由として「昨夏の高水温の影響を引きずらなかった貝が、冬の間もしけなどの影響を受けず順調に成長したのでは。高水温を乗り越えたからといって強い貝と言えるかどうかは不明」と説明した。

 今年も水温の上昇が見込まれることから、むつ湾漁業振興会の立石政男会長は「少しでも強い貝を作ることがわれわれにできること。天候はどうにもならないが養殖施設を深く沈めるなど工夫をして乗り越えてほしい」と語った。