「警察組織に不満。強制性交被害者がふびんだった」 鹿児島県警情報漏えい、元巡査長に懲役1年求刑 福岡の記者に捜査情報提供「評価あげたかった」

AI要約

元県警巡査長が守秘義務違反で起訴され初公判。記者に捜査情報を漏らす。検察は懲役1年を求刑。

被告は見返りや組織内評価のために情報を提供し、更生意欲を示すも、弁護は執行猶予を求める。

被告は疑問と不満から漏洩、警察組織や関係者に謝罪。逮捕・懲戒免職処分を受けている。

「警察組織に不満。強制性交被害者がふびんだった」 鹿児島県警情報漏えい、元巡査長に懲役1年求刑 福岡の記者に捜査情報提供「評価あげたかった」

 職務上知り得た秘密を漏らしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴された元鹿児島県警曽於署の巡査長の男(49)=鹿屋市札元1丁目=は11日、鹿児島地裁であった初公判(松野豊裁判官)で起訴内容を認めた。検察側は「(ウェブメディアを運営する)福岡市の男性記者から情報提供を求められて漏らした」と指摘。被告は「見返りに自分も情報を得られ、組織内での評価を上げたかった。組織に対して漠然とした不満もあった」などと述べた。

 検察側は懲役1年を求刑し、弁護側は執行猶予を求めて即日結審した。判決は8月5日。

 検察側は冒頭陳述で、男性記者からの求めに応じ、1人の犯罪経歴情報と、新型コロナウイルス宿泊療養施設での強制性交容疑事件=不起訴、検察審査会に申し立て中=の捜査状況などを提供したと指摘。「特に秘匿性の高い個人の犯罪経歴や捜査情報を大量に漏らし、警察官の職務に対する社会の信頼を大きく損なう悪質な犯行」と論告した。

 弁護側は「金銭の受領はなく、自己の利益のみを得る守秘義務違反とは区別されるべき」と主張。真摯(しんし)に反省し、高い更生意欲があると訴えた。

 被告は被告人質問で「強制性交事件の処理経過を疑問に感じ、被害者があまりにふびんだった。警察組織に漠然とした不満もあった」と述べた。その上で「県民や漏らしてしまった関係者の方々、懸命に仕事をしている警察職員に対し、非常に申し訳なく思っている」と謝罪した。

 起訴状によると、被告は2023年6月12日、鹿児島市の県警本部で自身のスマートフォンから、1人の犯罪経歴情報を男性記者に送信したとしている。同9月20日~10月20日ごろには、捜査情報が記載された書面「告訴・告発事件処理簿一覧表」10枚を市内で男性記者に手渡し、24年3月11日には同一覧表47枚を郵送し、職務上知り得た秘密を漏らしたとされる。

 藤井被告は当時、県警本部警備部公安課に所属していた。県警は、1件の犯罪経歴と95件の告訴・告発事件、計304人分の個人情報を漏えいしたとして、4月8日に逮捕、5月20日に懲戒免職処分にした。