全国初アイドルのライブ配信サブスク　那覇のライブハウスCyber-Box、巨大ファン市場を開拓へ

　那覇市のライブハウス・沖縄 Cyber-Boxが7月1日から、県内外のアイドルグループのライブを定額で生配信するサブスクリプションサービスを始めている。Cyber-Boxによると、アイドルのライブ配信サブスクは業界初。月額3千円で月に15～25本のライブを楽しむことができる。全国のアイドル市場に地方のライブハウスが新業態で挑戦する形で、今後はライブの配信だけではなく紹介番組の制作も視野に入れる。Cyber-Boxのオーナー・保栄茂仁さんは「アイドルを入り口に、ゆくゆくはバンドなど他のシーンのサブスク配信もやっていきたい」と意欲を見せる。（ライター・長濱良起）

■ライブ配信サブスク Cyber-Box Live

https://twitcasting.tv/c:studio26/star

　これまでもライブの生配信自体は長く行ってきたCyber-Box。ライブを生配信することで、直接会場に行けない人や県外に住む人にもライブを楽しんでもらうことができる。また、収容人数の制約がないため、より多くの人に見てもらえることも魅力の一つだ。Cyber-Boxでライブ配信を統括している後盛高央さんは「足の不自由な方や、大きな音が苦手な人もライブを楽しめます」と話す。また、普段ライブハウスに行き慣れていなくても、映像を通して会場の雰囲気を知れるため、生ライブに足を運ぶきっかけをつくりやすい。

　観客だけではなく、ステージに立つ側にも利点がある。幅広い客層へ認知度を広げることができる他、ライブの映像を自らのSNSに転載してプロモーションに使うこともできる。

　このような双方の利点を生かし、県外からも積極的にグループを呼んでいる。全国的に人気が高く、海外への発信も積極的に行うアイドルイベント「アイドリッジ」が7月5日から3日間開催され、サブスクサービスの門出に華を添える。

　7月2日には、沖縄を拠点に活動する「RYUKYU IDOL」のライブが行われた。ライブと配信のハイブリッド型のイベントだ。ステージに設置されたライトは約80基で、光線が縦横無尽に動き回る非日常の世界。生のロックバンドにも負けないぐらいのパワフルな音圧でありながら、なおかつ解像度の高い音質の良さに驚かされる。保栄茂さんは「音にも照明にもかなりこだわっています。ライブハウスですから、やはりそこで勝負しています」と胸を張る。そのそばからたくさんのシャボン玉がステージを包む。舞台特殊効果も盛りだくさんだ。

　そのクオリティーへのこだわりは、ライブ配信動画にも表れている。この日のカメラの台数は6台。固定カメラ以外にも複数のカメラマンによる動きのある撮影で、臨場感を生んでいる。「ミュージックビデオのような映像にしたかったんですよ」と話す後盛さんは本番中、各カメラの映像を切り替えるスイッチャーを務めていた。音質面では、会場用とは別で配信用のミキサー（各楽器やマイクの音量などを調整する機材）を用意し、レコーディングでも使用するようなマスタリング（音全体の音量や音質を整える作業）機材を通して配信用に音質を最適化しているため、聴きやすく仕上がっている。

　これまでに莫大な額の機材投資を行ってきたが、保栄茂さんは「気持ちですよね。おもてなしです」と笑う。来場客との距離の近さを大切にしており「お客さまの反応や信頼関係から、良いライブ環境や配信環境につなげています」と話す。