「こんな年だからこそ、あばれ」 宇出津で祭最終日 神輿いたぶり復興願う

AI要約

石川県の能登町宇出津で行われたあばれ祭の最終日。地震で傷ついた町を祭りが勇壮に巡る様子が伝えられる。

祭りでは神輿を荒々しく扱い、神様に復旧と復興を願う男衆の姿が描かれる。

神輿は痛めつけられるほど、祭神が喜びご利益があるとされ、町の平穏と早期復興を祈る住民の姿も見られた。

「こんな年だからこそ、あばれ」 宇出津で祭最終日 神輿いたぶり復興願う

 能登町宇出津の石川県無形民俗文化財「あばれ祭(まつり)」は6日、最終日を迎え、男衆が担ぐ2基のあばれ神輿(みこし)が能登半島地震で傷ついた港町を勇壮に巡った。「こんな年だからこそ、神様に復旧、復興をお願いしたかった」。荒々しい扱いを好む祭神の加護を得ようと、男たちは力の限り神輿をたたき付けた。

 酒垂(さかたる)方と白山方の両神輿は日中、各町内を練り歩いた。地震による地盤沈下で冠水が続く宇出津港周辺を避けながら巡行した。

 夜になると、神輿は仮宮の御旅所(おたびしょ)から八坂神社に向かった。大小37基のキリコが通りに並ぶ中、運行責任者から担ぎ手に選ばれた約80人の男衆が「チョーサ、チョーサ」と野太い掛け声を響かせながら速足で進んだ。

 あばれ祭は、神輿を痛めつけるほど祭神が喜び、ご利益があるとされる。若衆は何度も地面にたたき付け、川や火の中にも投げ入れた。住民も形を変えていく神輿を見つめながら、平穏とまちの早期復興を願った。

 酒垂方の運行責任者を務めた寺下正輝さん(46)は「いつも通りに神輿をカチャカチャにできた」と振り返り、今年初めて運行責任者となった白山方の髙井浩司さん(41)は「例年通りに祭礼を行うことができてうれしかった」と語った。