「プール熱と呼ばないで」寒い時期でも感染広がる「咽頭結膜熱」…厚労省が表現変更「プール利用による集団感染の報告は見られなくなっている」

AI要約

咽頭結膜熱とは、アデノウイルスが原因で、高熱やのどの痛み、結膜炎などを引き起こす感染症。

「プール熱」と呼ばれるが、正式には「咽頭結膜熱」と呼ぶべきであり、プール利用による集団感染は減少傾向。

感染対策として、手洗いを徹底し、タオルや共有物の使用を避けることが重要。

「プール熱と呼ばないで」寒い時期でも感染広がる「咽頭結膜熱」…厚労省が表現変更「プール利用による集団感染の報告は見られなくなっている」

例年6月頃~流行し始め、7月~8月にピークを迎える「咽頭結膜熱」。

いわゆる「プール熱」として知られていますが、去年、日本水泳連盟などが、誤解や偏見を招く表現であるとして、「プール熱」という呼称の使用を控えるよう厚労省に要請。正しい認識を呼び掛けています。

咽頭結膜熱とは、アデノウイルスが原因で、感染すると高熱やのどの痛み、結膜炎などを起こします。

いわゆる「プール熱」として知られていて、現在山陰両県でも感染が広がっています。

この咽頭結膜熱を巡って、去年11月、日本水泳連盟など3団体が厚労省を訪れ、あたかも感染源がプールであるかのような誤解を招くとして使用をやめるよう訴えました。

「咽頭結膜熱」は主に飛沫感染や手や指などの接触により感染しますが、プールでの接触やタオルの共用で感染することもあるため、厚労省のホームページでは「プール熱と呼ばれることもあります」と説明されていました。

しかし、要請を受け、現在では、「プール熱と呼ばれることもありましたが、近年ではタオルの共用が減った等の理由からプール利用による集団感染の報告は見られなくなってきています」と説明されています。

そもそも、なぜこれまでは「プール熱」と呼ばれていたのでしょうか。

おおの小児科・内科医院 大野光洋 院長

「現在は、感染症の検査キットを使用して、容易にウイルス検査が可能となっていますが、昔はそうではなかったことが背景として考えられると思います。そもそも、ウイルス検査を行わず、症状などから診断していたということです。

例えば、のどの痛み、結膜炎、高熱の症状があるから『咽頭結膜熱』と呼んだり、手や足や口に発疹ができるから『手足口病』と呼んだり、いわゆる夏に流行るから『ヘルパンギーナ』を『夏風邪』と呼んだりとしますよね。

咽頭結膜熱が俗称で『プール熱』と呼ばれていたのも、いわゆる毎年プールの時期に流行る風邪だから。プールの授業のときにタオルの共有で感染が広がったから呼ばれていたのだと思います。

ただ、現在では、プールでのタオルの共有などもなく、プールでの集団感染は見られなくなっています。」

アデノウイルスが原因の咽頭結膜熱は、飛沫感染または接触感染が主な感染経路で、感染対策の違いにも注意が必要です。

おおの小児科・内科医院 大野光洋 院長

「咽頭結膜熱の原因となるアデノウイルスは、アルコールが少し効きにくい特徴があるので、より手洗いをしっかりする必要があります。そのほか、タオルや枕、べッドのシーツなどの共有を避けた方が良いです」

夏にかけてエアコンが欠かせない時期が続きますが、適度な換気も重要だということです。