シャッター音が鳴り響く!棚田に広がる約1000個のろうそくの灯りにうっとり…岐阜県・恵那市の「田の神様灯祭り」

AI要約

恵那市中野方町で行われた「田の神様灯祭り」は、伝統的な棚田を守り、伝統を受け継ぐ町の人々の想いが込められたイベントであり、5年ぶりに開催された。

棚田保存会の柘植豊生理事長が、「田の神様」の意味や歴史について説明し、イベントの背景を紐解いた。

地元に伝わるお囃子「めれた囃子」や篠笛作りなど、伝統と文化を大切にする人々の姿が紹介された。

シャッター音が鳴り響く!棚田に広がる約1000個のろうそくの灯りにうっとり…岐阜県・恵那市の「田の神様灯祭り」

道端に三脚を立て、カメラを構える大勢の人たちが見守る中、2024年6月8日に岐阜県・恵那市中野方町で行われた「田の神様灯祭り」。ろうそくが灯された棚田の美しい光景は、伝統的な棚田を守り、伝統を受け継いでいく町の人たちの想いが込められていました。タレントの寺坂頼我くん(以下寺坂くん)が取材しました。

「田の神様灯祭り」が行われる「坂折棚田」は、360枚ほどの棚田が連なり、その歴史は約400年に及びます。土台の石垣は、名古屋城の石垣を築いた「黒鍬(くろくわ)」という石工集団が、石を斜めに落とし込んで積む「谷落とし」という高い技術で作ったもの。また、「日本の棚田百選」にも認定され、県内屈指の美しさです。

コロナ禍などで2019年から中止が続いていましたが、5年ぶりに開催。「田の神様」について、恵那市坂折棚田保存会・柘植豊生理事長に尋ねました。

(恵那市坂折棚田保存会・柘植豊生理事長)

「(棚田の一角にある石を指差して)"田の神様だ"と言って、昔から大事にしている」

詳細は不明ですが、昔から各家で「田の神様」を祭る風習がありました。石はその名残として、農家の人たちが頼りにして手を合わせてきたのです。

「田の神様」に田植えが終わった報告をし、豊作を願うと共に、田んぼのあぜに約1000個のろうそくを並べて灯すのが「田の神様灯祭り」です。

16時頃になると、恵那駅から臨時運行するシャトルバスが次々と到着。5年ぶりの開催ということで、例年以上の賑わいです。棚田だけではなく、広場では様々なイベントを開催。そんな中、"めれた"と書かれた法被を着た人たちがいました。

(めれた囃子保存会・各務公明さん)

「地元に伝わるお囃子(はやし)を、きょう祭りで披露する。江戸時代の頃からある『めれた囃子』というと、雨乞いのお囃子」

江戸時代に、神社の行事や雨乞いで演奏されていた中野方町に伝わる「めれた囃子」。消えゆくお囃子を残そうと、55年前に保存会を発足しました。現在は、10代から70代の21名が在籍し、親子で参加する人もいます。

親から子へ、年配者から若者へ受け継がれていくお囃子。その演奏を陰で支えているのが、篠竹という竹で「篠笛」を作っている鈴村武司さんです。「篠笛」を1本作るのに、1年から2年かかることもありますが、お囃子メンバーの中には、鈴村さんが作った笛を使っている人もいます。

(笛を制作・鈴村武司さん)

「穴の数とか間隔とか、地域によって作り方が違う。地域の先輩から教えてもらって、受け継いでいるだけ」