防災かるたで水害「自分ごとに」 静岡県、第3弾作製へ 「流域治水」推進

AI要約

静岡県が「しぞ~か防災かるた」の第3弾水害編を作製するワークショップを開始

ワークショップでは地域色を取り入れた防災用語を考え、製品化を目指す

県は流域治水を推進し、防災教育の重要性を強調している

防災かるたで水害「自分ごとに」 静岡県、第3弾作製へ 「流域治水」推進

 静岡県内約8万棟が床上・床下浸水した「七夕豪雨」から7月で50年になるのを機に、県は8日までに、県民向けの防災教材「しぞ~か防災かるた」の第3弾水害編(仮称)を作製する住民参加型ワークショップを始めた。行政・住民・企業が連携して減災を図る「流域治水」の取り組みの一環。初回の県中部に続いて今後、西部や東部、賀茂地域でも防災用語などを盛り込んだ読み札の句を考え、来年3月末までの製品化を目指す。

 しぞ~か防災かるたは老若男女に楽しみながら防災意識を高めてもらう教材で、2012年発行の静岡市版と22年発行の県版が製品化されている。読み札の「上の句」は地域自慢の景観や名物など、「下の句」は防災の心得を詠んでいる。

 6日に静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパスで開かれたワークショップには、同市民らでつくる「しぞ~か防災かるた委員会」や同大学生防災ネットワークのメンバー、同市や県の職員ら約30人が参加。6班に分かれて読み札の句を考えた。各班は上の句では「まちなかを静かに流れる巴川」「世界一長い木の橋蓬莱橋」、下の句では「語り継がれる七夕豪雨」「川の様子はライブカメラで」といった文言を考え、上、下の句を組み合わせて発表した。

 西部や東部、賀茂地域でも地域色を採り入れた句を作る。取り札の絵は市版、県版を描いた静岡市のイラストレーター高山みほさんが描き、最終的に全県の句を交えて44組の札を作る。

 県は22年の台風15号、23年の台風2号での水害を踏まえ、県内の流域治水の方向性をまとめたリポート「新たなステージに入った水災害に対する取り組み」を2月に公表。住民の適切な避難行動が被害軽減につながるとして防災教育の重要性を指摘した。県土木防災課の山田凌也技師は「多くの人に防災かるたを通じて水害を自分ごととして捉えてもらえれば」と期待する。 

 <メモ>流域治水 水害の激甚化や頻発化を踏まえ、国、県、市町、住民、企業など河川流域全ての関係者が協働して減災を目指す考え方。森林やため池など雨が流れ込む「集水域」、河川周辺の「河川区域」、川があふれた時に浸水する「氾濫域」の全てを一つの流域と考え、ハード、ソフト両面の対策で多層的に取り組む。