浮気承諾書があれば愛人を作ってもOK!?身勝手な夫に裁判所が下した鉄槌

AI要約

旦那が浮気OKの誓約書を妻に書かせ、愛人を募集するも裁判所で無効とされる。

愛人との間に子供が生まれ、妻が慰謝料請求をする事態に。

裁判で愛人が慰謝料支払いを命じられる結末へ。

浮気承諾書があれば愛人を作ってもOK!?身勝手な夫に裁判所が下した鉄槌

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。

――旦那さん、「我、無敵」という顔ですが何があったんですか?

「無敵でしょ。『浮気してもOK』という誓約書を妻に書いてもらったんですよ。これで浮気し放題ですわ」

旦那はこの誓約書を武器に愛人を募集します。愛人は「この誓約書があれば大丈夫だわ」とホイホイついていきました。

浮気が妻にバレ、妻が愛人に慰謝料請求しました。

裁判所

「んな誓約など無効!愛人は妻に慰謝料300万払え」

以下、わかりやすく解説します。

※ 実際の判決を元に構成

※ 争いを一部抜粋して簡略化

▼ 妻

61歳(夫との別居時)

▼ 夫(以下「マサオ」)

55歳(別居時)

▼ 夫の浮気相手(以下「麗子」)

33歳

シングルマザー

▼ 浮気OKの誓約書

――旦那さん、結婚したあとも浮気する気マンマンだったんですか?

「はい。なので結婚する時、妻に誓約書へサインしてもらったんです」

――どんな誓約書ですか?

「『結婚するにあたり夫が浮気してもやむを得ません、騒ぎません。ここにその事を誓います』という誓約です」

マリオでいうとスター状態ですね(……のちほど死にますが)。

▼ 不倫スタート

結婚から12年後。夫が麗子と知り合います。

――麗子さんとは、どこで知り合ったんですか?

「インターネットで知り合いました。私が愛人を募集したんです。条件は『私に結婚を求めず、シングルマザーとして子供を育てる意思のある女性』というものでした。それに応募してきたのが麗子だったんです」

――応募した時、何と言われましたか?

麗子

「年間600万円の生活費を渡すから愛人にならないか、という趣旨のことを言われました。あと、『浮気してもOKという妻の承諾書があるから大丈夫』とも言われました」

――即決でしたか?

麗子

「いえ、悩みました。まずは自分の社会的自立が先決だと考えていたので。マサオさんのもとにすぐ飛び込むのではなく、見合いをしたり就職先を探したりしていました。

その後、マサオさんとやりとりを続け、私が『妊娠した時はすぐに認知してくれますか?」と聞いた時にマサオさんは『責任をもって認知する』と言ってくれたんです」

麗子

「あと、マサオさんは、私が上京した場合、月額30万円を渡すことや、300万円を出して会社を設立させてくれるとも約束してくれました。そんなこんなもあり愛人になりました」

▼浮気がバレる

――奥さん、どうやって旦那の浮気をつかんだんですか?

「夫が旅行に行っている間に事務所の中を調べたんです。すると、夫と複数の女性の裸体写真がわんさか出てきました。数百枚ですよ。あとはPC内を調べると麗子とのやりとりも出てきたんです」

どんだけ現像しとんねん。

▼ 出産 

結婚から約19年後。浮気相手の麗子はマサオの子供を出産。約束どおりマサオは認知しました。

それから別居生活が始まり、妻が麗子に対して慰謝料2000万円を請求しました。

後編では、麗子が慰謝料300万円を支払うことになった裁判所の判断について、詳細を解説していきます。

取材・文/林 孝匡(弁護士)

【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。法律コンテンツを作ることが専門の弁護士。

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