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契約にかかる時間「60→15分」に短縮も 不動産取引のデジタル化がもたらす効果とは?
不動産業界におけるDXの必要性と課題について述べられている。テクノロジーを活用し契約プロセスを効率化する取り組みや、不動産業界の独自の課題に対する解決策が提案されている。
三井不動産レジデンシャルリースが導入したクラウドサービス「電子契約くん」により、契約書作成のオンライン化が実現され、顧客の来店不要といった効果も紹介されている。
高齢化やステークホルダーの多さなど、不動産業界独自の課題がDXの進展を妨げている現状が示されている。イタンジなどのテクノロジー企業がソリューションを提供することで課題の解決を図っている。
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気になる物件の内見予約をしたのに「入居申し込みが入った」などの理由で、内見ができなくなるようなケースがある。航空券を予約したのに飛行機に乗れない、といった事態が起きれば大問題なのに、同じようなことが不動産業界でまかり通っているのは、よく考えてみるとおかしな話だ。
「在庫情報が正しく管理できていないことが原因」――。こう話すのは、不動産テック企業、GAテクノロジーズの子会社であるイタンジ(東京都港区)の広報担当者だ。同社は「テクノロジーで不動産の賃貸取引をなめらかにする」とのミッションを掲げ、SaaS型の不動産DXサービスを手掛ける。
不動産業界は、今も契約は紙のやり取りが主流で、電話やFAX文化が根強く残るなど、ビジネスサイドの課題が山積する。そのために、顧客は契約時に大量の書類に署名、押印をし、店頭に直接足を運ばなければいけない。
2023年11月、三井不動産グループの賃貸住宅運営管理会社、三井不動産レジデンシャルリース(東京都新宿区)は、イタンジが提供するクラウドサービス「電子契約くん」を導入した。契約書の作成をオンライン上で完結でき、契約書類の郵送や、顧客の来店が不要となる。サービスの導入で、現場にはどのような効果が生まれているのか。
DXに前向きな不動産会社は48%――。これは、不動産システム開発のいえらぶGROUP(東京都新宿区)が2023年5月に行った調査結果だ。全産業平均の52%を下回り、通信業(71%)や情報サービス業(69%)と比べると遅れが目立つ。
背景に、高齢化や小規模事業者の多さ、ステークホルダーの多さなど、業界特有の事情が指摘される。
不動産業界は、物件を所有する「オーナー」、オーナーに代わって物件を管理・運営する「管理会社」、入居希望者を集客し契約手続きを行う「仲介会社」、「顧客」……と、ステークホルダーが多岐にわたる。業務のプロセスを標準化するのが難しく、各社が独自にDXを進めるのが難しい。
こうした業界が抱える課題をテクノロジーで解決しようと、2012年設立のイタンジは、不動産関連の電子契約システム「電子契約くん」を始めとするSaaS型サービスを手掛けている。
2022年5月に改正宅建業法が施行。完全オンラインでの契約が可能となり、賃貸業務における電子化のニーズが高まる中、同サービスの導入社数は、2024年3月末時点で約600社、2023年度の年間契約件数は30万件を超えたという。導入後、契約業務にかかる時間が60分から15分程度に短縮できた企業もあるという。