「独身アンチに指を刺され、保育園からの呼び出しに怯える生活…」0歳児を持つ「子持ち様」の絶望的な孤独。
仕事と家庭の両立に悩むワーキングマザーと仕事に専念する独身女性の対立が生じている。
ワーキングマザーは子育てと仕事の両立に苦労し、社会の理解と協力が必要だと訴えている。
育休明けの復帰から育児の厳しさを経験したワーキングマザーの声が物語として紹介されている。
「子持ち様」という言葉をご存じだろうか。
もともとは子どもがいる人に対する敬意や親しみから来る言葉だったが、最近は批判や冷笑
を込めた意味合いで使われるケースが多い。
子どもが発熱したという理由で仕事を休み、周囲の人に迷惑をかけてしまうような場合に「子持ち様だから仕方ないよね」といった具合で使われるのだ。
SNS上では子育てと仕事の両立を図るワーキングマザーと、仕事に専念する独身者の間でしばしば意見が対立し、不満の声があがっている。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「”子持ち様”という言葉が皮肉を込めて使用されるようになった背景には、少子化や子育て支援の不十分さ、会社の人手不足などが挙げられます。
某子育てサイトでは、子育て中の女性132名を対象に『子どものために仕事を休んだり遅刻したりする頻度』に関するアンケートをとりました。結果、0歳児を育てるママのうち15.9%が週1回以上会社を休むことがわかっています。加えて、1か月に1回以上休む割合は全体の80.6%に上ることが判明。
ワ―ママが働きやすい環境を作るためには、会社側の制度改革、そして何より周囲の理解と協力が必須だということがよく分かります」
今回は、仕事と家庭の両立に悩むワーキングマザーと、仕事にまい進する独身女性の思いをリポートしていきたい。
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「1年間の育休を経て職場復帰しました。30日以上あった有給は半年で消え、復帰後1年くらいはとにかく肩身の狭い思いをすることが多かったです」
沈んだ声で話すのは、一人息子がいる川上さやさん(仮名・32歳)だ。
彼女は26歳から勤めている会社で1年間の産休・育休期間を経て、現在は9時から16時までの時短勤務をしている。慌ただしい日々を過ごしながらも仕事と家庭を両立しているらしい。
もともと働くのが好きな彼女。
独身時代は大きなプロジェクトに携わることが多く、残業が30時間をゆうに超える月もあったという。
頑張った分だけ達成感があり、周囲の人に認めてもらうことが嬉しくて、とにかく仕事に明け暮れる日々を送っていた。
そんな矢先、男の子を授かったのだ。
「妊娠が発覚したときは驚きましたが、いつかは子どもがほしいと思っていたので嬉しかったです。仕事量を減らしてもらい、産休ギリギリまで出社しました。約1年、育児に専念したあと保育園に入所。
『休んでいたぶん頑張って仕事をするぞ!』と思っていましたが、実際復帰したては全く出勤できなかったんです。1歳になったばかりの息子は、慣れない保育園通いの中で最低週1回は発熱、治ったと思ったら手足口病やRSウイルス、突発性発疹など……。
先輩ママの話は聞いていましたが、ここまで保育園の呼び出しがあるのは想像以上でした」
夫は営業職で出張が多く、家事や育児の9割はさやさんの担当だ。
1週間まるまる休む週もあり、思うように仕事ができない上にどんどん減っていく有給を見てハラハラする毎日。
最初の頃は「仕方ないよ」「すべてのママが通る道だから!」と励ましの言葉をもらっていたが、人事異動により、他に育児をしながら働く人がほとんどいない部署に移ることに。
そこで次第に肩身の狭い思いをするようになったと話す。