「もう終わりだ…」夜中の2時「今すぐきてください!」救急隊員からの電話がなる現実。認知症の両親を看取るという生き地獄

AI要約

認知症が増加する高齢化社会において、認知症介護の厳しさと現実について語られる。

介護が始まる前に対策を講じる必要性が述べられ、認知症についての啓発が必要である。

当事者の体験を通して、認知症介護の過酷さや介護者の困難さが明らかにされる。

「もう終わりだ…」夜中の2時「今すぐきてください!」救急隊員からの電話がなる現実。認知症の両親を看取るという生き地獄

高齢化社会が進むにつれ、増えている認知症。公益財団法人生命保険文化センターによると2025年には65歳以上の5.4人に1人が認知症患者になると予想されている。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

「認知症は加齢による物忘れとは異なり、脳の病気です。私自身認知症患者の両親を看取った体験者ですが、その介護は本当に過酷です。いざというときのための準備もなく、いきなり介護がスタートすると地獄をみることになります」。

認知症介護のリアルはあまり報じられない。その理由を平塚氏はこう述べる。

「実際問題、声があげられないんだと思います。認知症の介護は介護者のすべてを奪います。仕事なんてできたもんではない。その結果、貯金を切り崩したり、親の年金を頼って生活することになれば、声をあげる余裕なんてないことは明白です。だからこそ、親が元気なうちに対策をしておくべきなんです」。

今回は認知症介護の当事者である平塚氏に、その厳しい現実と今後の対応策について詳しく話を聞いていきたい。

----------------------------------------------------------

平塚氏の両親が認知症になったのは、彼がまだ40代の頃だ。現在はすでにともに他界している。

「本当に辛い40代でした。まさか両親ともども認知症になるなんて思ってもみませんでしたから。初めはまるで気が付きませんでした」。

働き盛りで帰省は年に2回だったそう。その回数では気がつかないものなのか?

「お盆とお正月は帰っていましたが、今思えばそれじゃ全然少ないんですよね。親って不思議なもので子供の前だとしっかりするんですよ。認知症の相談に乗ることも多いんですが、ほとんどの方がこれはおっしゃいますね。年2回の帰省では見破れないことがあるんです」。

親の認知症に気がついたのは事故がきっかけだった。

「父が交通事故にあったんです。父は自転車で車と衝突。救急車で運ばれ、入院をしたんですがその際なんか会話がおかしいなと思ったのがきっかけです」。

しかし、脳波などに異常はなく、そのまま退院したそう。

「ところがその後から、徘徊が始まったんです…」。

深夜に呼び出されることも1度や2度ではなかったと話す。

「警察や救急隊のお世話になって、そのお迎えにいくという日々でした。深夜の2時3時でも今すぐ迎えにきてくださいと言われてしまうんです。断る権限はこちらにはありません」。

ーあなたが迎えに来ないと救急隊が動けなくなるんです。

そんな風に言われることもあったと話す。こうなってくると仕事どころではない。何かあればすぐに飛び出していかなければならない。平塚さんは、周りのススメもあり介護認定を申請しようと試みる。しかし、ここで思わぬ敵が現れる。